第94話 マッサージ
明日は早くから進み出すからと、今日は明日に備え早目に寝た。必ずしも必要ではなかったのだが、テントの方が温度管理等がしやすいからとテントを設営した。
布団は収納に有ったが5セットを出していた。
晃は疲れていた。かなりの強行軍だったからだ。
エニグマに言われ晃は上を脱ぎ、うつ伏せになりマッサージをして貰う。思ったよりも疲労が溜まっていて、時折呻いていたが、とても気持ち良かった。彼女の手の柔らからとしなやかさが伝わるが、優しく凝りを解して貰っているので気持ちよくうとうとしていた。エニグマは泣いていた。治っているが、生々しい傷の跡がある。魔法による治療ではなく、薬や自然治癒を意味する。完治まではかなり痛かった筈だ。
また、かなり無理をしてきたのであろうか、腰や背中の筋の凝りが尋常ではなく、少し擦ると呻いていた。痛がるので強めに解せなかったのだ。
いつ倒れてもおかしくない、そんな感じの疲労具合だった。そんな体で無理をして自分を助けてくれたのだ。好きにならない筈はないのだ。
レヴィは晃の体を温かなタオルで拭いていた。疲労を少しでも取ろうとしていたのだ。
「寝ちゃいましたね。やっぱりエニグマさんも晃様の事を?」
「あっ、やっぱり分かりますか?以前晃様は体調が悪い時に無理をしていたようで、偶々通りかかった私が要らぬ世話でお助けしたの。でも、何故か今の私のように女神様との契約がなかったけど、普通じゃない何かを感じてたんですよ」
「うん。私も魂を救っていただいたのです。あの、一緒に晃様を私達に振り向かさせませんか?かなりの朴念仁なのですよ!この方は困っちゃうくらいにおばかさんなんです」
「やっぱりそうよね。ふふふ。可愛らしい事。レヴィさん、よろしくね」
「えっと、レヴィって呼んで下さい」
「分かったわ。じゃあ、先に私の事もエニグマ、またはエニーって呼んでね。親しい人はそう呼ぶの」
「はい。じゃあ、エニーで。よろしくお願いしますね、エニー。あと、晃様の周りにはギルドのターニャさんや仕出し店のルーシーもいて、今の所ルーシーが一番みたい」
「へー。朴念仁さんだけど、やっぱり周りがほっとけないのかなー。ターニャともねー。そう、あの子も好きなんだ。私は良いけど、晃様を共有する事にレヴィは抵抗ないの?」
「大丈夫ですよ。強く能力があるのですから、周りがほっとかないし、次代の子孫を残す義務者にもうなる筈ですし。どちらかと言うと晃様の問題なのです。晃様は異世界人ですよ。そこは一夫一妻制で、複数の女性と関係を持つのが社会的に認められない世界に生きてきた方らしいので、教育が必要なんです。女神イザベラ様の覚醒時に手を出さなかった御仁なのですよ。あと、仲間の方で結婚したけど、異世界人の大輔様も同じで、理性と倫理観が最大の敵です。イザベラ様から教わりました」
「えっ!覚醒時に手篭めにされなかった女神様はファーストが女性以外聞いた事が有りませんよ。晃様は紳士なのね!」
そんな会話が有ったがやがて二人も寝ていく。寝間着がないから下着姿で晃の布団に入っていく。晃の装備は二人が外していた。装備したままだと疲労が残るからだ。布団に入った直後に二人共疲れから意識を手放したのであった。
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