第78話  出た

 晃達は余裕だなと余裕シャキシャキでいたのだが、取り敢えず11階層を覗いてみようと階段を目指していた。


 すると交差点になっている通路でケンタウロスと出会い頭にぶつかったのだ。


 晃とレヴィが咄嗟に反応した。レヴィは矢を番え、晃は中衛の位置にいたが駆け出し、ケンタウロスに向かい出した。ソレイユが出会い頭にぶつかり尻もちを付いたからだ。


「晃待て、雌のケンタウロスだ。危険だから一旦距離を置くんだ」


 ローランが慌てて叫んだがあっさり決着した。

 晃が消えたと思うとケンタウロスの背後に現れ、現れざまに首を切り落とし、ケンタウロスが霧散して魔石と矢と魔導書を落としたのだ。


 晃は鼻血を出してぜいぜいと喘いでいた。


「よし、コツを掴んだ。だけどまだ多用はできないな。転移系の加護がまだレベル0だもんなって1になったよ!。今ので上がったようだ。やったね!」


 晃はぶつぶつ言っていたがソレイユが


「ああ、晃様が凄すぎる。これはヒュドラの時のね。素敵!」


「晃、お前なんだよそのスキル。ソレイユじゃないけどヒュドラの時は気の所為かと思っていたが、今消えたよな?」


「ええ。イザベラ様が僕に主神の加護が有り、時空間を司る加護を得ているっていうのと、今までにも、あそこに行けたら倒す事が出来るのにって思ったら景色が変わっていたんです。だからひょっとしてと思い、今朝から試していたんですよ。実戦で初めて狙った所にテレポート出来たんですけどね。ただ、今までは本来使えない筈だったんです。加護のレベルが0なのを無理矢理使っていたからか体への負担が大きく、使える回数に制約があるようなんです。余り多用は出来ないぽっいので、使い所は絞らないとですけどね。ただ、今レベルが4に上がったのですが、加護のレベルも1になりましたから、使える回数が増えたかもですね」


「お前さん何言ってるんだ?確かダンジョンに入って一週間位だろ?確かにケンタウロスの雌はレア中のレアだけど、俺なんてレベル3から4に上がるのに1年半も掛かったんだぜ。って、レオナ何だよ?ウゲー!俺レベル5になったんか?まだ半年から一年は掛かる筈だろう?」


 またソレイユが


「あの、レヴィちゃんか晃様に仲間の成長補正があるっぽいよね。やはりこれは運命の出逢いだったのね!晃様に一生付いて行きます!」


「あははは。ソレイユさんは大袈裟ですね。うん。これからも宜しくね!」


 ソレイユの目付きが憧れから恋慕に変わったのだが、意味を履き違えてた晃だったりする。ソレイユの方は晃に対しての一目惚れが本気の恋心へと好感度が更に上がり、完全に恋をしてしまっていた。しかし、晃は、先輩に一生付いていきます等の仲間としての言い回しだと思い込んでしまい、ソレイユの気持ちを勘違いしまくっていた。ソレイユの猛アタックも、変わった子だな位にしか思わない朴念仁だ。

 それにいち早く気がついていたレオナがローランに囁いていた


「面白いから突っ込んだり指摘せずに晃君の朴念仁振りを楽しみましょうね!ソレイユは可愛そうだけど、その方が面白いでしょ?」


 ローランはなる程と頷き、ニコニコしていたりする。


 またローランの言うにはケンタウロスの雌は半年に一度目撃される位で初めて見たと。かなり凶暴で通常のケンタウロスよりも1レベルは強いらしい。


 魔石も200万は行くらしい。

 そして矢は、矢を魔力で生成するマジックアイテムだった。正確には矢が数本入った矢筒だった。

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