第10話  騒動

 大輔が率いていたバックヤード団には既に説明をしてもらっていた。


 とりあえずギルドにてダンジョンに入る予定の者の登録が必要だった。


 また、一旦屋敷を開放する話をした。いずれ何処かの屋敷なりを貰えるはずだが、その間の住処にと。


 迷惑をかけた詫びにと可能な限り手直しや掃除、庭をなんとかしてみるとなった。


 力仕事以外は非戦闘系のメンバーにお願いしていた。


 ただ、緊急で屋敷を開け放ち、屋敷と離れのトイレを使えるようにし、トイレの紙を急ぎ買ってきて貰う。

 何人かが駆け込むが、床に足を取られ悲鳴が聞こえていた。


 穴の空いた床は一旦板を打ち付ける。幸いお金はそれなりにある。


 それと団員はケイトと契約を結んだ。女性もだ。身体能力が強制的に上がり、身を守れるからだ。


 彼女の加護は水全般だだ。

 水の中で息ができる。また水魔法に100%の耐性がある。初級の水魔法が使え、ウォーターボールとアイスアローが使える。魔力がなくても、加護の影響で魔力を少し得られるから、誰もが数発撃てるのだ。これは契約破棄しても関係ないので、魔力の強制取得とそれはそれでかなりのチートだ。


 契約はすぐに出来て、女性陣に屋敷の掃除をお任せして、戦闘系を引き連れてギルドに赴く。


 又ひと波乱だ。

 担当は勿論ターニャだ。

 ターニャは気絶しそうだった。


 何せ100人ともなれば最大の人数になるからだ。


 また、新たな女神が現れて騒ぎになった。


 団員はターニャが手続きし、イザベラと晃と、バックヤード団の主要メンバーはギルドマスターと面談だ。


 まず屋敷は暫くは無理だった。


 幸い今の屋敷をシェアすれば良い。


 ギルドマスターは頭が痛かった。新しい女神が来たという事は新たな女神の降臨の前後数日の間に死んだ女神がいる筈だからだ。


 最大手がダンジョン遠征に行き、まだ戻らない。彼らの女神が消息不明で死んだ女神は最大手の女神だと推測されるまさかダンジョンに女神を連れて行きはしまいと。もう一人は既に判明していた。最大では予測であと10日位で加護が切れる。

 するとレベルが1になる。

 加護が切れ、レベルリセットの後に別の女神と再契約するとどうなるかは不明だった。契約解除は普通は死に直結し、生き残れないからだ。

 ステータスが大幅に下がるのだ。近接系は致命的になる。


 もう少し待ってから救助隊をと悩んでいた。


 ギルドマスターの話は大した事がなかったが、ロビーで泣き崩れている一団があった。


 先程10階層で会った者達だ。


 クランは女神死亡で既に解散になっていたのだ。

 3日前からダンジョンに籠もっていて、今日出てきたら女神の存在が感じられず、慌てて戻ったクランの屋敷に数人が残っていて、彼らを待っていたと。団長が後を負い自殺してしまったのだという。クランは解体になっていて今は皆どこかの団に入るべく駆けずり回っていた。


 彼らの中に一人サポートがいてその者はいなかった。

 また一人は兄弟が移籍する所に移る。しかし今いる3人が宙ぶらりんだ。


 兄弟と伝染るのは彼らのパーティのリーダーだった。リーダーが居なくなったとどうするか途方に暮れていた。

 男一人と女二人が残ったのだ。


 一人は角刈りの晃より頭一つ大きい脳筋系で槍使い。ローラン24歳


 大きい方の女は晃より拳一つ大きく、シミターを使う。レオナ22歳で二人は幼馴染で多分恋人


 小さいのは晃よりやや小さい。体は小さいが両手剣を使う。ソレイユ16歳


 それと話しているとうち一人が


「副団長!」


「お前らか。今日戻ってきたのか。その様子だともう聞いているな?あと、君は確か」


「あっ!あの時はありがとうございました!」


「いや、俺は何もしてないよ。俺が向かう先にたまたま君がいて、あいつ等が目障りだっただけだよ。?君今レベルいくつだ?」


「はい、晃と言います。レベルは3です」


「おい待て、君あの時はまだ女神と契約すらしてなかったろ?レベル3ってどうなっているんだ?確かに君からはたただならぬ可能性を見たが」


「あっ、副団長、自分らが遭遇し倒せなかったヒュドラを倒したのが彼です。9階層まで上がり、それを仲間を逃がすため10階層に引き戻し、俺らが吹き飛ばされた後に極大魔法で倒したんです。俺は6以上だと思ったんですが、ヒュドラを倒して2から3に上がったようなんです。驚きました」


「はい、私達が吹き飛ばされていても彼は果敢に攻め、私達への追撃を防いでくれました。あれがなければ死んでいた筈ですわ」


「うん。凛々しかったよ!」


「そうか君が。うん。えっとこちらの女神様が晃君の女神様だね。女神様、お初にお目に掛かります。クランライチの副団長をしておりましたダグラスと申します。厚かましいお願いですが、この3人を貴女の庇護に置いてもらえまいか。団では新人だったが、その中では期待されていたんです」


「わかりました。引き受けましょう。ただ、私は良いですが彼らの意志は?」


「彼らは行く宛がないのですよ。新人を引き取るのは中々無くて、途方にくれてなければ今はここにいない筈ですよ」


 3人は土下座をしてお願いしてきた。


 晃は慌てて起こして


「イザベラ様どうか3人を仲間にしてあげてください。僕が戦っている時助けてくれたんです」


「うん。それは良いんだよ。それより君はどうするんだい?」


「さて、アクが強くどこか引き取ってくれますかね」


「嘘は言うものではない。君、確か今現存している冒険者の中での最高のレベル8だろ。数人しかいないらしいね。引く手あまたでしょ?まだ新たな女神と契約していないのは最後に帰ってきた彼らの行き先を決めてから自分の事を考えたかったのではないのかい?」


「参りましたね。よくお分かりで。確かにこれから考えるんですよ。引退も視野に入れていますが。また、私と一緒なら彼らを引き受けると言うところしかなければそこに行くつもりだったのですが、イザベラ様は彼らを私抜きで引き受けようとされていますね」


「うん。そうだよ。彼らは後輩の晃くんの下につく事になるけれども、大丈夫なら引き受けよう」


「はい。問題ありません。自分らが束になっても倒せなかったヒュドラを倒したんです。晃さんの元でなら俺らも頑張れそうです」


「分かった。契約しましょう。それとダグラス、君は晃くんと私の元に来ないかい?晃くんを指導してやって欲しいんだ」


「何故です?荒くれ者や、問題児かもですよ」


「私はね、あの時晃くんが暴行を受けている所に出くわしたんだ。先を越され、何処かのお人好しが目的地の反対にいる晃くんを助ける様を見たんだ。それが理由だよ」


「いやー全てお見通しですか。分かりました。副団長としてなら彼らの指導役を引き受けましょう」


 そうして一気に4人の仲間が出来たのと、指導者のおまけ付きだった。

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