作品について語ってみる・1
ネタバレになりそうですが、まあ、読む人はいないと思うので盛大なネタバレをしようと思います。
「記憶喪失の妻は夫に愛される」について。
これはとある海外ドラマを見ていて思いついたものです。宮廷貴族のドロドロドラマで、浮気や不倫が多かったです。
ただ、この時に純粋な愛って何だろう?みたいな疑問があって、別に歪んだ愛から始まってもいいんじゃないかな、との思いからできました。
イメージとしては三部構成です。話の中に大きな流れを作りつつも、一話の中にも流れを作ることを考えました。
後は場面転換ではっきり明暗を分ける、そんなところに気をつけました。前半は明るく、謎が解けて一気に暗転。そこから少しずつ浮上してエピローグへ、という感じです。
三部構成のためにどうしても話が疾走してしまい、心理描写が置き去りになりがちだったところや、はっきりとした明暗に欠けてしまい凄絶さが出せなかったところが反省点だと自分では思っています。文章力がないのも反省点だとは思いますが、そのあたりも精進しようと思います。
ヴィルヘルミナについては、価値観や家族の狭間で苦悩する女性をイメージしました。ずっと我慢を強いられていたからこそ、打算や狡さも持ち合わせた女性だったので、好き嫌いがわかれそうだと思いました。その力で自分の運命を切り開いていく強い女性に描けていたら嬉しいのですが。
カイルは、嫌われる狡い男をイメージしました。というのも、そういった男が過ちを悔いて償う話が書きたかったので。彼のせいで多くの人の運命が狂い、それを更に放置して傍観する最低男だと、書いた私も思います。ですが、彼もまた弱さを持った一人の人で、いいところもあるので、私としては好きなキャラです。
ルイーザは、男性上位の世界で女の武器を使って成り上がりたいという野心に溢れた女性をイメージしました。ただ、ポンパドゥール夫人のような賢さはなかったので、成り上がることのできなかった悲しい女性でもあります。
彼女がそういった性格になったのは、母親自身もそうやって成り上がったからという裏設定もあります。あまり書くと長くなるので省きました。
フェリクスは、人の噂を鵜呑みにして、真実を見極められない男をイメージしました。彼は被害者ではありますが、加害者でもあります。整えられた舞台の上でしか動けない、凡庸な男性といった感じです。
最後になりますが、テーマは「共依存」と「復讐」です。
主人公のヴィルヘルミナは記憶を失い、最も許せない夫であるカイルを愛してしまいました。
それは記憶がない故に刷り込みのような、依存に近い状態だったのだと思います。
そしてカイルも、ずっと憎んでいたけど、実は自分の被害者にしか過ぎなかった可哀想な妻への同情から始まった愛でした。
だからこその共依存なのだと思います。すがる人が欲しかったヴィルヘルミナと、自分の罪を悔いて償いたいというカイルの利害が一致してしまいました。
そして、ヴィルヘルミナは多くの人の人生を狂わせた夫を愛しながらも、赦すことができませんでした。だから、一生自分に縛りつけることで彼の覚悟を見届けることにしました。それが彼女なりの彼に対する復讐でした。
死んで償うよりも、生きてもがいて苦しみながらも償う方法を一生模索して欲しい、そんな願いを込めて書きました。
初めて書いたので拙い文章ですし、まとまってないとは思いますが、私にとってすごく思い入れのある作品です。
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