第29話:シャッターチャンス
僕は雪におんぶされたまま家に入った。
というか…僕まだ女装したままじゃん!こんなの家族に見られたら変な目で見られちゃうかもしれない!?
「ゆ、雪!僕着替えてないから着替———」
「お帰りー……って、お兄ちゃん!?」
「あ……華……これは…ですね…」
華がカタカタと震えながらこちらを見つめている。
華は震えが治ると僕に近づき、肩をポンと叩いた。
「とりあえず…一枚写真撮らせて」
華は親指を立て、ウィンクしながらそう言った。
目もなぜか輝いている。
「え…?これおかしいと思わないの?」
「思ってない思ってない!お兄ちゃん似合ってるよ!お姉様って呼んでいい!?」
「そ、それなら良かったけど…僕がやろうとしたんじゃなくてミッションだったから!仕方なくだったんだよ!」
僕は少し早口になりながら華に言い訳をした。
華は変わらず…というか先ほどよりもニコニコとした顔になっていた。
「おー、照れてるなぁ。可愛いのぅ」
「てっ…照れてないもん!!」
華に言われたことは図星で、さらに顔が熱くなり、鏡を見ずとも真っ赤になっているというのがわかった。
「それじゃあ写真撮ろ!一緒に!!さ、早く家入って!」
僕は雪に降ろしてもらった。もう普通に歩けるようになった。
「写真…本当に撮るの…?恥ずかしいよ……」
「くぁー!今のも写真撮りたかったぁ!」
「華ちゃん?あとで私も七美と一緒に撮らせてもらうからね!」
「え!?雪も!?」
華だけかと思ったが、思わぬ伏兵がいたようだ…。
僕は華に手を引かれ、リビングへと連れられた。
「さあお兄ちゃん!はい、チーズ!」
「えっ!?いきなり———」
リビングに連れられるや否や、いきなりスマホで写真を撮られた。
「華ー!今絶対変な顔になってたから消してー!」
「むふふー!!私のお宝が増えた〜!」
「もーー!!!」
その後は嫌々だが華とも雪とも一緒に撮った。何十枚と……。
〜〜
「ただいま〜」
「あ、お母さん帰ってきたみたい」
お母さんが部屋に入ると、買い物に行っていたのか、ビニール袋を手に持っていたが僕を見た途端にドサっとそれを落とした。
「……」
お母さんは何も言わずに、ポケットからスマホを取り出し、連写で写真を撮ってきた。
「お、お母さん!?いきなりどうしたの!?」
「いや……癒しだよ」
「どういうこと!?」
そのあとはお母さんとも写真をいっぱい撮りました……。
〜〜
「はぁ……流石に今日はどっと疲れが溜まった気がする……」
本当は写真あまり撮りたくなかったけど押されに押されまくって許可しちゃったしなぁ…。
押されると断れない性格だと自覚しているけど、全然治る気がしない。
ご飯はお母さんが作っており、少し時間がかかるらしいから僕はソファでゴロゴロしていた。
そして疲れでまたも眠くなってきた。
そしてそのまま夢の中……。
七美は女装していることを忘れており、そのまま寝てしまった……。
〜華side〜
「ふふふ……お兄ちゃんの女装姿……家宝にしよう……」
今私はとても上機嫌だった。
なんと、あの…あの!普段からも超絶可愛いお兄ちゃんが女装をしているなんて……!
雪さんに聞いたらあの女優がバレないようにするため、お兄ちゃんが女装してミッションをした…という程でただデートをしていたらしい……。
今度はお兄ちゃんと二人きりで行こう…。
そしてお母さんがご飯を作っている間、私は撮った写真をプリンターで印刷していました…。
それを何に使うって?
………いろいろです。
印刷が終わり、リビングに戻った私は一瞬意識が飛びかけた。
「お……お兄ちゃん寝てる………グハァ…」
ソファでお兄ちゃんが寝ていた。
そしてトドメの一撃のようにお兄ちゃんから一言放たれた。
「……焼きそばパン………」
「はぅぁっ!!!」
バタッとその場で倒れ、そのまま私も意識がなくなっていった……。
笹田 華。死因:焼きそばパン。
〜母と父とのメール〜
母「これ見て」
[七美の女装写真]
父「誰だ!?この超絶美少女!!」
母「七美よ」
父「えー!!!今から帰っていい?」
母「ダメよ」
父「じゃあもっと写真送ってくれ」
母「ダメよ」
父「なんで!?」
母「私だけの宝物にするわ…」
父「えー、ずるいよ…」
母「仕事で疲れたらこれも見るといいわ」
[七美がソファで寝ている姿]
ー二十分後ー
母「?寝たの?」
母「ああ……鼻血吹き出して気絶したのね」
母「この可愛さは反則チート級ね…」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
テスト終わったぜ!
今日から書いてきまーす。
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