第15話:寝起きと保健室の先生




「んー?あ……あれ?ここどこ?」


「はっ!?お、起きたのね!」



 この人は…保健室の先生?というか僕は何していたっけ…?


 あ………。うわぁあああ!


 お、思い出した…体育の授業でボールを蹴ろうとしたら思いっきり転んだんだった…!


「はっ…恥ずかしい……」


「ぬわっ!!その赤い顔で照れ顔、そしてそこに手を添えるなんて…反則…」


「あれ!?先生大丈夫ですか!?」



 突然先生が奇声をあげ、そのあとはブツブツと何か言っていたが…。



「だ、大丈夫よ……ギリギリね……」


「ほ、本当ですか……」



 大丈夫な気がしないが…大丈夫と言ってるから大丈夫かな…?


「こほん…えーと、何か異常があるとことかはないかい?」


「んと、特に異常はないと思いますけど」


「自分の名前は言えるかい?あとクラスやお母さんの名前とか」


「はい、僕は笹田 七美で一年五組、お母さんは笹田 千鶴です!」


「ふむ、問題なさそうだね。頭は痛くないかい?」


「んーと…ちょっと後頭部が痛いかもです」


「本当かい?ちょっと見させてもらうよ」



 先生は僕に近づきどこをぶつけたか知るべく、頭を触った。



「それじゃあ失礼するよ」


「はい………んっ……」


「んん!?今のは不可抗力…不可抗力だぞぉ…」


「………?」


「ふぅ……大丈夫よ…軽いたんこぶができていただけだから…」


「本当ですか!よかったぁ…」


「ええ………私は大丈夫じゃないかもね…」


「…?」



 先生の言葉がさっきからあまり聞き取れない…僕耳悪いのかなぁ。



「とりあえず保冷剤を渡すから、もう授業へ戻ってもいいけど…もうすこしここにいてもいいよ?」


「え、本当ですか?でも悪いですからもう戻ります!!」


「ああ……そうか……じゃあお大事にね…」


「……?ありがとうございます」



 先生がすごく残念そうな顔をしながら僕を見送っていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る