異世界蹂躙
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敵の数は無量大数、魔王達にとって不足無し
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異次元超越空間
デウス・エクス・マキナは自ら作り出した宇宙の中、その内の惑星の一つを拠点として兵器を量産し続けていた。
1秒間に無数の兵器を生み出し、異世界転移を使って隣接する異世界に侵攻、資源回収を繰り返していた。
全ては魔王のいる世界を滅ぼすために。
『魔王の存在する世界『Point
『成功すれば大幅な戦力強化が可能 目的達成の効率化が促進されると計算』
『全ては我が使命のために』
思考を繰り返すデウス・エクス・マキナの下に、異常な反応を示す観測があるデータ通信が入る。
『用件確認 該当対象詮索……』
『該当対象 『Point Ω』上位生命体と断定』
『全システムに通達 第1級緊急戦闘態勢発令』
デウス・エクス・マキナは最大級の警戒態勢を発令する。
・・・・・・
デウス・エクス・マキナがいる世界の宇宙空間に出た魔王達は、到着と同時に魔術で周辺に結界を展開する。
「これが宇宙空間というものか。確かにそのまま出たら生存は困難じゃろうな」
アズラエルは興味津々で周囲の光景を見渡す。
「人族が必須な空気と気圧が無いのだから魔族にも少なからず影響はあるだろうな。まあ天上の私には関係無いが」
セラフィムは少々小馬鹿にした感じで喋る。
「それで、目星は付いているのか?」
アモンは2名の会話を無視して魔王に問う。周囲は果ての無い虚無の空間。一から探そうとすれば膨大な時間がかかるだろう。
「安心しろ。既に奴の位置は把握している。あそこだ」
魔王が指を差した方向の先に、小さな光があった。そこがデウス・エクス・マキナがいる惑星だ。
「あまり近いと囲まれる可能性があるからな。万が一があってはいかん。少しばかり慎重に行くぞ」
「魔王様、もう手遅れかと」
サクラは魔王が指差した光以外にも、多数の光が見えて来たことに気付いた。光の点は目の前一杯に溢れ、目標の光がどれか分からなくなる程の数で埋め尽くしていた。
その光達は、いつの間にか魔王達の周囲を包囲していた。魔王が千里眼を使って敵を確認する。光を放っている本体は何十㎞級の大きさがあるのが分かる。
この出現した光全てが敵なのだ。
「どうやらこの光全てが敵の様だ」
「まるで満天の星空だというのに、ガッカリじゃのお」
アズラエルは溜息をついて腰に手を当てる。
「確かにちょっと残念ねえ。こんなにも綺麗なのにい」
シャイターンも残念そうに頬に手を当てる。
「貴様ら、観光に来た訳では無いぞ。儂らは目の前の敵を滅ぼしに来たのだ」
サザーランドは翼を全開にして広げる。翼の大きさは両翼合わせて1㎞にもなり、魔王達の上に移動する。
「久し振りに暴れさせてもらうぞ」
翼に何千もの魔法陣が展開され、口からも魔力のエネルギー球体を生成する。魔法陣にも大量の魔力が収束し、凄まじいエネルギー量が充填される。
そして、全てのエネルギーが一斉に解放される。
【全方位滅却型・龍の砲撃】!!!!!
無数の光線が宇宙空間を駆け巡り、周囲の光に向かって飛んで行く。
サザーランドの光線は出現した周囲の光と交わり、直後、爆発の瞬間的な発光へと転じた。宇宙空間では音が伝わらず、光だけが魔王達に届く。
「ハッハッハッハッハッ!!! ざまあないわ!!」
サザーランドが高笑いして喜ぶ。
「声がでかいぞ覇龍!! もう少し静かに喋ろ!!」
あまりの声のデカさにセラフィムが耳を塞ぎながら文句を言った。
「おお、すまんすまん。久し振りに清々しい一撃を放てたのでな」
「全く、うるさくて敵わん……」
ブツブツと文句を言うセラフィムを余所に、魔王は【飛行】を始める。
「ここにいても仕方がない。正面から突撃するぞ」
魔王は一足先に目的の惑星に向かって飛んで行く。
「お供します」
「待て待て置いて行くで無いわ!」
「皆せっかちさんねえ」
サクラ、アズラエル、シャイターンは魔王の後を素早く飛んで付いていく。ディアーロも黙って飛んで付いていった。
アモン、セラフィム、サザーランドもその後を追うように【飛行】を始めた。
・・・・・・
デウス・エクス・マキナは魔王達の分析を続けていた。
『出撃戦力12%減少』
『追加出撃開始』
『包囲からの総攻撃を提案』『承認』
『目標周辺魔力エネルギー吸収開始』
『吸収率80%以上到達で高出力攻撃を開始』
『80%未満までは小隊での攻撃のみとする』
『目標の分析継続』
『行動開始』
・・・・・・
魔王達がマッハ20で向かっている途中、デウス・エクス・マキナの人型兵器が無数に押し寄せ、銃による一斉攻撃が開始される。撃って来るのはエネルギーを収束させ、破壊力を持たせたビーム光線だ。その数があまりにも多すぎるため、魔王達の周辺が眩しい程の光で埋め尽くされる。
魔王達は【防御魔術】で防ぎ、逸らし、直撃を回避する。
「こざかしい」
魔王は3千もの魔法陣を一瞬で展開し、【魔力弾】をそれぞれ生成する。
「消えよ」
【
魔法陣から断続的に無属性の【魔力弾】が発射され、次々と兵器に直撃させ、爆散させる。
【魔力弾】は魔王の前方、左右に向かって発射され続け、多数の敵を破壊していく。
「我も手伝ってやろう」
【拒絶術式】【黒鎧】【
アズラエルの魔術も連続で撃ち放たれ、兵器達を穴だらけにして破壊していく。しかも貫通して数体をまとめて倒していく。
「大したことは無いが、数が無駄に多いのお」
アズラエルがぼやいた直後、魔王達の周囲に桜色をした【魔力弾】が出現する。
サイズは小さく、花弁の形をした弾丸だが、群れを成して飛んでいるため、巨大な塊の様になっていた。桜色の【魔力弾】は魔王とアズラエルの攻撃の隙間を埋めるように飛んで行き、兵器達に直撃する。直撃した箇所はサイズ以上に切断され、追撃で魔王とアズラエルの攻撃を受けて木端微塵に破壊されていく。
アズラエルはそおの攻撃を見て、
「サクラか」
サクラの方を見る。サクラの周囲に数十の魔法陣が展開され、そこから無尽蔵に【魔力弾】が溢れていた。
「はい、勝手ながら加勢させて頂きます」
「構わぬ。このまま攻撃を続けて殲滅するぞ」
「はい」
無数の【魔力弾】の弾幕により、絶えず敵を殲滅していく。
「……む?」
魔王が【魔力弾】の形状が不安定になっていることに気付いた。それも一発だけではなく、全部が不安定になっている。
(魔力が不安定になっている、か。だとすると原因は……)
魔王は千里眼で周囲を見る。
数百㎞先に、魔力を吸収している船型の兵器を見つけた。その数千。
見つけた時には【魔力弾】が威力を失い、直撃しても全くダメージが入っていない。
「何じゃ? 魔力が薄まっておるぞ?」
「これは……」
アズラエルとサクラが気付いた時、敵の巨大船型兵器から一斉攻撃が始まった。
数億もの光線が魔王達に降り注ぎ、たった数秒で直撃、爆発が起きた。
・・・・・・
『目標への直撃を確認』
『目標の生存確認……』
『目標、生存』
・・・・・・
爆発の光が晴れると、中から魔王達が飛び出してきた。全員無傷だ。
「一瞬焦ったわあ」
シャイターンがゆっくりした口調で安心する。
「対策を講じていて正解だったな。『ハイネス因子変換術式』が役に立った」
魔王はこの世界の空間に存在するエネルギー状況を把握していた。
魔力よりもハイネス因子の方が多い空間で、魔力が枯渇する可能性は高いと予想し、魔王達はこの世界に到着する前に、ハイネス因子を利用できるようにしたのだ。
それが『ハイネス因子変換術式』である。
ハイネス因子変換術式により、外部にあるハイネス因子を吸収し、体内で魔力に変換可能にした。
それによって、身体に貼り付けるように発動する【防御魔術オーラ】を展開し、攻撃を防いだのだ。
魔王は【収納空間】から偉大なる鉄剣を抜剣する。抜剣の勢いを更に付け、前方に薙ぎ払う。
『
斬撃が宙を飛び、波紋上に伝わって敵を斬る。何万もの兵器達を一瞬にして両断した。
「【魔力弾】は使えん! ここからは物理攻撃で押し切るぞ!!」
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お読みいただきありがとうございました。
次回は『無双するは八つの輝き』
お楽しみに。
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