ミラージュからオブジェクトの殲滅を開始し、一つ町へ出てオブジェクトの殲滅、また一つ町へ出て殲滅を繰り返した。エデンを超え、その次も、次も、オブジェクトの破壊を繰り返した。途中、コア・オブジェクトが二体現れ、また別のメモリーカード・ミネラルを取得することが出来た。四個目のメモリーカード・ミネラルを取得したとき、またミラージュへ戻った。


 「お帰りなさいませ。早速ですが、メモリーカード・ミネラルを拝借します。」


 マリアは01から二つのミネラルを受け取ると、機械を何か操作し、参照をはじめ、数分するとマリアは01を呼んだ。


 「こちらになります。」


 液晶画面を01がきちんと見えるようにマリアは後ろに移動した。01は覚悟を決めてゆっくりと画面に近づいた。



  *



 科学者は短い時間の間で数多くの可能性を導き出した。そうして作り出した科学者は、娘二人に訴えかけた。


 『……良いか? よく聴くんだぞ、二人とも』

 『なあに? 父さん』


 病にかかっている娘たちはそれを悟らせないほど無邪気に愛する父親の話を聞こうとした。


 科学者は躊躇った。自分のせいで病でではなく、この手で殺してしまうのではないかと思ったから。それでも、彼女らに託すしか未来はなかった。突如として現れた「オブジェクト」を駆逐し、殲滅するために、科学者は最後の希望を託した。


 『……。リザ、お前はお姉ちゃんだ、アイラのお姉ちゃんだ。そうだよな?』


 リザと呼ばれた黒い髪の少女は小首を傾げた後、うんと頷いた。


 『アイラや、私を、守ってくれないだろうか? もちろん、リザだけに背負わせるわけではいないよ。アイラにも手伝ってもらいなさい。また、二人で協力して、助け合って、生き抜いてほしい。 ……この世界を救ってほしい。大丈夫、私が、父さんが、きっと助けに戻るから。』


 そう言うと、科学者は二人を抱きしめた。


 『どういうこと? 父さん、父さんは?』


 リザは科学者の胸の中で涙声になっていた。


 『父さんは、この世界を守ることは出来ないんだ。本当に、本当に申し訳ないと思っているよ。愛する君たちを……君たちを、失いたく、ないんだ……。』


 そうして科学者は、リザを先に、「」として延命させた。危険だが、小さい個体のオブジェクトを捕まえ、「ステライト」と呼ばれる特殊な鉱石を使って何度も何度も実験を重ねた。すると「ステライト」でできた剣、そして、弾丸が出来上がった。銃自体はミラージュ地下にあった武器屋からくすねたもので、それを解体し、簡単に持ち歩けるように長方形の箱状にした。


 リザの体は、原形をとどめていない部分がほとんどだった。頭、胴体、見た目はリザそのものだがしかし、人間としての機能より、機械としての機能で動くようになった。


 アイラは影からそれを見ていた。

 リザは、剣と銃を携え、ミラージュ研究所周辺にいるオブジェクトを倒してまわった。それで効力を確かめると、次にアイラの番がやってきた。



  *



 01はそこまで見ると、画面から目を逸らし、さっさと出口へ向かった。


 「どうされました?」

 「次、……次を」


 そう言って玄関の戸に手を掛けた瞬間、どこからかブザー音が鳴った。ブザー音は、研究所の地下から上がるエレベーターの作動音と同じ音だった。つまり、地下に繋がるエレベーターが作動したのだ。


 「え?」


 01は後ろを振り返り、ゆらりゆらりと歩行した。まさか、と思った。

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