第5話

「愛なわけがない。愛は死んだ。でも紛れもなく愛だ。僕が見間違えるわけがない。」



混乱して頭をかかえていると宇宙人が怪我をしていることに気がついた。


「わからないことだらけだけどこのままにしておけない。家につれてかえろう。」



僕は抜けた腰に力をいれると妹の姿をした宇宙人を抱えて家にもどった。


家には明かりがついていた。


「どこ行ってたの?大きな地震もあったし母さん心配したじゃ、」

「母さんただいま。」

あいさつもそこそこに家にはいるもちろん宇宙人も、


「愛?なん、で」

母さんは驚いていた。

当たり前だ。2年前に死んだ自分の娘が息子に抱えられて帰って来たのだ。


「怪我してるんだ。母さん救急箱を。手当てしながら話すよ。」


宇宙人の怪我は思ったよりも大したこともなくパニックになった母さんを落ち着かせながら話すことも容易だった。

「とにかく宇宙船が落ちてきて中から愛がでてきたんだよ。

僕にもそれしかわからないんだ」


母さんは納得いかないという顔をしていた。

ふと我にかえると今の状況を父さんに電話していた。

どうせ留守電だろうに。


それにしても夜中まで勉強もして今はこれだ。

さすがに眠くなってきて僕も母さんも眠っている宇宙人を見ながら浅い眠りについたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る