孤独な戦いと仲間
春嵐
01.
重要なところは、だいたいいつも、ひとり。
そういう星のもとに生まれたのだから。そうやって生きていくしかない。
人生の岐路。流れが変わる部分。仕事の納期でさえ。ひとり。最大の決断は、いつも私に委ねられる。
最初は、こわくて逃げた。小さかった自分には、背負うことができないものだった。事故。猫と人が列車の間に挟まって。どうしようもなかった。
今もときどき、考える。あのとき、どうするべきだったのか。私は逃げた。そして、猫は自力で踏切から出てきて、たぶん人のほうは轢かれた。そして結局、猫はまた踏切に入っていって、轢かれた。
そう。見ていた。その場から逃げて。それでも、どうしようもなくて。踏切を遠くから、気付いても間に合わないと言い訳できるぐらいの距離から。見ていた。
その、見ているという判断は、間違ってなかったと思う。少なくとも、それで自分は覚悟ができた。
重要な選択。ひとりで決断しなければならないとき。必要なのは、視野の広さだと気付けたから。
二択になったら。三択目を探す。なければ、三択目を自分で作り出す。その上で選択し直せばいい。選択肢が多すぎれば、今度は逆に近付いていく。あの日の踏切に。今度は自分が立つ。
自分の命ぐらい。どうでもいい。選択の連続の生活のなかで、命の大事さなんて、かなりどうでもよくなっていた。あの日の選択。
自分を犠牲にして、猫と人の両方を助けるのが、たぶん最善。
次そういう場に居合わせたら、確実に、そうする。
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