16話『可能性の成長』
フリードはしばらく街を散策した後、宿屋にやって来た。
「すいません、宿を取りたいんですが空いてますか?」
いかにもって言う感じのふくよかで力強さを感じさせるような宿屋の女将が答えてくれた。
「空いてるよ、どれぐらいの期間泊まってくんだい?」
「じゃあ、とりあえず1ヶ月ほどお願いします」
「あいよ、銀貨17枚だね。代金は途中で宿を出たとしても返すことは出来ないけど大丈夫かい?」
「はい、大丈夫です」
フリードは代金を手渡す。
「丁度だね、あんたの部屋は2階の一番奧だよ」
「わかりました」
「ああ、それと食事が必要な場合先に言って貰うことになるからね。で、夕食はどうする?」
「お願いします」
「はいよ、直ぐ出来るから席にかけて待ってな」
フリードが席に座って待っていると、直ぐに食事が運ばれてきた。
「おぉ、美味しそう」
「ディモルボアっていう牛の魔物のステーキだよ、たんと食いな」
「いただきます!!」
「なんだいそれ?」
フリードは女将さんが何を不思議に思っているのか分からなかったが、少しして食事の前の挨拶のことだとわかった。
「あぁ、家では食事の前にこうやって、いただきますって言ってから食べるんです」
「へぇー変わってるねぇ風習みたいなもんかい」
「まぁそんなものです」
フリードは、そういえばやっぱり敬語が抜けないなぁと思いながら、食事に舌を唸らせた。
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食事を終えたフリードは部屋に戻り、横になって休んでいた。
「あぁ、久しぶりのベットだ」
そう呟きながらベットに横たわった。
「そういえばしばらく、ちゃんとステータスを見てなかったな」
そう言ってフリードはステータスを開く。
「ん、スキルが多くなったせいで見にくいな、おっ職業だけ表示するように出来るのか」
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個体名:フリード
種族:人間
職業:≪自由人≫(剣士)
固有スキル:《器用貧乏》
スキル:《可能性の選択》
≪料理人≫…≪格闘家≫…≪剣士≫…
≪狩人≫…≪斥候≫…≪戦士≫…
≪騎士≫…≪武道家≫…≪鍛冶士≫…
≪学者≫…≪槍使い≫… ≪侍≫…
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「俺も少しは強くなれたかな、いやいや油断は禁物だ、油断は人を殺すって言うもんな、この前の戦いだってギリギリだったもっと強くならないと……」
そう呟いて《可能性の選択》を使う
「ん?…なにかおかしくないか?」
(なんだ?何がおかしい…!!)
「そうか!今まででなかった職業が増えてるんだ」
《可能性の選択》の選択出来る職業に今までなかった≪刺突剣士≫≪軽戦士≫≪風槍者≫等の上位のものだと思われる職業が現れていたのだ。
「なんでだろう?」
しばらく考えて、きっと自分が成長したからそれにともなって増えたんだろうと当たりをつけた。
それに、増えている職業に習得した職業に関連するものが多いため、答えにそう遠くない考えなんじゃないかとフリードは思った。
その後なかでも特に気になった≪魔剣士≫という職業をセットしてステータスを閉じた。
「よし、これからも今までで以上に頑張ろう!!」
「ふぁぁ、でも流石に疲れがたまってるなぁ、そろそろ寝るか」
その夜、フリードは久しぶりのベッドで心地よく眠りに着いた。
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