声優さん

ここは、町はずれの一角にひっそりとある、一人の魔女と人間の女の子が営むカフェ。

『ウィッチカフェ』

一般のお客様には見えないように魔法が掛けられており、店の前に斜めに置かれてある看板を、まっすぐに直すとお店が現れるという仕組みになっている。


ひっそりと営業しているウィッチカフェには、いろいろなお客様が訪れる。

いろいろな種族、動物、時には一般のお客様も。

仕事の合間に来る人や、ちょっとした観光、常連さんになってくださっている方も多い。

そんな方々の、ちょっとした憩いの場なのです。


さぁ、本日はどんなお客様が来てくださるのでしょうか?


カランコロン。


「いらっしゃいませ!」

「2人なんですけど行けますか?」

「大丈夫ですよ!こちらの席へどうぞ」


今日こそは普通のお客さんである事を願う私。


「ご注文は何になさいますか?」

「僕はマヌカハニー入りのゆず茶とマカロンを」

「私は普通のゆず茶とカヌレをください」

「かしこまりました!」


うん。普通のお客さんだった。


「サテラさん、注文はいりました!」

「は~い!」


私は厨房へ移動し、料理を始める。

マカロンは時間が少し時間かかるものの、そこまで難しいものではない。


「葵ちゃん、これよろしく!」

「わかりました!」


私は葵ちゃんに料理をお客さんの元へ運んでもらうように頼んだ。


「お待たせしました。マヌカハニー入りゆず茶とマカロンです。そしてこちらが、ゆず茶とカヌレです」

「ありがとう。それはそうと、君いい声しているね。声優の世界に興味は無いかい?」

「せ、声優ですか?」

「僕は○○の刃の主演声優を務めているんだ、そして、彼女もトップレベルの声優さんなんだよ」

「いや、でも私は……」

「すぐに返事を出さなくてもいいよ!興味があったらここに連絡してね」

「は、はい……」


葵ちゃんとお客さんで何か話しているようだったけど、何の話をしていたのだろう。


「サテラさん私、声優さんにスカウトされました」

「声優に?すごいじゃない!」

「でも、声優なんて考えた事もなかったですし、それに、今はこの仕事が楽しいし……」

「うちは掛け持ちOKだから、考えてみたら?」

「わかりました」


世の中何事も挑戦。興味がない世界や知らなかった世界でも、いざやってみると楽しい可能性もある。

私も親に言われたことがある。


「ごちそうさま。すごく美味しかったよ!」

「ありがとうございます。また来てくださいね」

「また来るよ。それと、彼女によろしく伝えておいてください」

「わかりました」


カランコロン。


「ありがとうございました!」


と、本日のウィッチカフェはここまで。如何だったでしょうか?

本日のお客様は有名声優さん。葵ちゃんはどんな選択をするのか楽しみですね!

そして、明日は定休日です。町の方へ買い出しへ行こうと思っています。

是非楽しみにしていてください。


それでは、いい夢を🌙


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