ライオン
ここは、町はずれの一角にひっそりとある、一人の魔女と人間の女の子が営むカフェ。
『ウィッチカフェ』
一般のお客様には見えないように魔法が掛けられており、店の前に斜めに置かれてある看板を、まっすぐに直すとお店が現れるという仕組みになっている。
ひっそりと営業しているウィッチカフェには、いろいろなお客様が訪れる。
いろいろな種族、動物、時には一般のお客様も。
仕事の合間に来る人や、ちょっとした観光、常連さんになってくださっている方も多い。
そんな方々の、ちょっとした憩いの場なのです。
さぁ、本日はどんなお客様が来てくださるのでしょうか?
ガリガリガリ。ガリガリガリ。
「いらっしゃいま………」
「ガオォォォ!」
なんだかお店の入り口が騒がしい。どうしたのだろうか。
「葵ちゃん、どうしたの?」
「あ、あの……ライオンが――」
そう言って葵ちゃんは気を失ってしまった。
「あれ?ミートさん?」
「あ、サテラさんじゃないですか!」
このライオンさんは、唯一私たちと同じ言葉で会話をする事が出来るライオンさんなのだ。
何故、人間の言葉を話すことが出来るのかは分からないけれど、本人曰く、生まれつきだったらしい。
「ミートさん、何食べますか?」
「じゃ、ミートスパゲティーを!」
「かしこまりました!少し待っててくださいね!」
私がミートさんに出会ったのは一年前。
お店を開く場所を探していた時、私の担当アドバイザーだったんです。
とても優しくて、いつでも相談に乗ってくれたんです。
「お待たせしました!ミートスパゲティーです!」
「お!とてもおいしそう!」
ライオンなのにスパゲティー。
お肉ではなくスパゲティー。
ライオンは思っているほど肉食では無いのかもしれない?!
まぁ、そんなことは無いと思うけれど。
「あ、そう、そう!これを渡そうと思ってたんですよ!」
「お守りですか?」
ミートさんから受け取ったのは一つのお守りでした。
そのお守りには
【商売繁盛】
と言う言葉が書かれてあった。
「サテラさんのお店がもっと有名になって、繁盛しますようにと言う思いを込めてあります」
「ミートさん……。ありがとうございます。大切にします!」
お守りを大切にするという表現は間違っているのかもしれないけれど、私の中ではしっくりきた。
「私はそろそろ仕事に戻ります!また来ますね!」
「はい!お待ちしています!」
カランコロン。
と、本日のウィッチカフェはここまで。如何だったでしょうか?
本日のお客様はライオンのミートさん。お守りを頂けるなんてとても嬉しかったです!今度お礼をしなければ!
さて、明日はどんなお客様が来てくださるのでしょうか!?
それでは、いい夢を🌙
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