通常営業!

鬼狩りさん

ここは、町はずれの一角にひっそりとある、一人の魔女が営むカフェ。

『ウィッチカフェ』

一般のお客様には見えないように魔法が掛けられており、店の前に斜めに置かれてある看板を、まっすぐに直すとお店が現れるという仕組みになっている。


ひっそりと営業しているウィッチカフェには、いろいろなお客様が訪れる。

いろいろな種族、動物、時には一般のお客様も。

仕事の合間に来る人や、ちょっとした観光、常連さんになってくださっている方も多い。

そんな方々の、ちょっとした憩いの場なのです。


さぁ、本日はどんなお客様が来てくださるのでしょうか?


カランコロン。


「いらっしゃ……いませ……」

「三人、入れますか?」

「ひゃい。こちらの席どうぞ……」


なんだか葵ちゃんの様子がおかしいような……。


「葵ちゃん?どうしたの?」

「あのお客さん、刀持ってます……怖いです……」

「あら、それはちょっと注意しないと」


うちのお店は危険物は持ち込み禁止である。

刀、拳銃、刃物類。全て禁止である。


「あのお客様?当店は危険物の持ち込みは禁止なので、そちらの刀こちらでお預かりしてもいいですか?」

「ああ、かまわないよ」

「ありがとうございます」


悪い人たちでは無いらしい。


「サテラさん、背中に何か……」


斬殺隊きさつたい

鬼の中でも、悪さをする鬼を倒す事を仕事とする組織。

私たちの世界でも、その存在を知るのはほんの僅かと言われている。


「あの人たちは鬼を狩ってる人たちだよ」

「そ、そうなんですか?じゃあ、玄さんも狩られるんじゃ……」

「大丈夫、悪さをする鬼だけだから」

「よかった……」


斬殺隊が存在しているおかげで、私たちの世界は平和なのかもしれない。


「ご注文どうされますか?」

「じゃあ、この冬の一品を三つ」

「かしこまりました」


冬の一品。

冬ならではのものを週ごとで変え、提供するという物だ。


今週は、ビーフシチュー。

うちのビーフシチューは、牛肉はホロリッとほぐれるくらいに柔らかく、煮汁は肉と野菜のうまみがたっぷり溶け込んだ極上のおいしさなのだ。


「お待たせしました。ビーフシチューです。こちらのパンはサービスです」

「ありがとう!」


正直、私が作る料理の中でもかなり自信のある料理だ。


「ん!これは、今まで食べたビーフシチューの中で一番おいしい!」

「本当に!口に入れた瞬間お肉と野菜のうま味が口中に広がってくる」

「うん。最高に美味しい。今までで食べた事ないよ」


私は、遠目でお客様の感想を聞き、いい気分になっていた。


「ごちそうさまでした。また来させてもらうよ」

「はい、お待ちしてます」


カランコロン。


斬殺隊の皆さんは、忍者のようなスピードで走り去って行った。


と、本日のウィッチカフェはここまで。如何だったでしょうか?

本日のお客様は斬殺隊の皆さん。世の中を平和にしてくれている、素敵な方々でした。次来られるときは、お話を聞きたいな!

さて、明日はどんなお客様が来てくださるのでしょうか!?


それでは、いい夢を🌙

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