色欲の魔女さん、再び

ここは、町はずれの一角にひっそりとある、一人の魔女と女の子が営むカフェ。

『ウィッチカフェ』

一般のお客様には見えないように魔法が掛けられており、店の前に斜めに置かれてある看板を、まっすぐに直すとお店が現れるという仕組みになっている。


ひっそりと営業しているウィッチカフェには、いろいろなお客様が訪れる。

いろいろな種族、動物、時には一般のお客様も。

仕事の合間に来る人や、ちょっとした観光、常連さんになってくださっている方も多い。

そんな方々の、ちょっとした憩いの場なのです。


さぁ、本日はどんなお客様が来てくださるのでしょうか?


カランコロン。


「いらっしゃいま……、あ!あなたは!」

「指輪を落としたから取りに来たのよ」


あの時の魔女さんだった。

名前は……確かキールさん。


「少し待っていてくださいね、取ってきますので」

「ありがとう」


私は、落とし物入れに締まっていた指輪を片手に、キールさんの元に戻った。


「これですよね?」

「そう、これ。ずっと探してたの。でもどこにもなかったから、もしかしたらと思ってこの店に来たの」

「そうだったんですね。大切な指輪なんですか?」


少し気になった私は、キールさんに聞いてみた。


「これは母の形見なの」

「形見……?」


形見と聞いた瞬間、無くなっているのだと察した。


「私の母は100年前、小さな戦争で死んだの。まぁ戦死ね。その戦争に行く前に、母はこの指輪を私に託していったの。あんな小さな戦争で命を落とすような魔女じゃなかったのに……」

「キールさんのお母様って……?」

「私の母は、第3代色欲の魔女、キエール」


この時、私はキールさんが何者なのか理解した。

色欲の魔女キール。

生き物の三大欲求の1つでもある性欲。

この欲求が強すぎる為、色欲の魔女と呼ばれるようになったと言われている。


「この指輪は先祖代々受け継がれている物なの。だから、失くしたなんて事は許されない」

「………」


何故だか、言葉が出てこなかった。


「サテラ、あなたには感謝してもしきれないわ。だから、私たち七大魔女の茶会へ招待するわ。そこの魔女見習いの子もね」

「え~~~~~?!」


七大魔女の茶会。

それは、神聖なる茶会。

七大魔女以外が参加する事は禁じられている茶会。

そんな茶会に、私と葵ちゃんが招待されたのだ。


「日時は後日、うちの使いに知らせに来させるわ」

「わ、分かりました」

「じゃあ」


そう言ってキールさんは、前回同様ゲートの中へと姿を消した。


「あ、あの人は一体?」

「七つの大罪って聞いたことあるでしょ?その一人の――」



と、本日のウィッチカフェはここまで。如何だったでしょうか?

本日のお客様?は色欲の魔女、キールさん。まさかの七大魔女の茶会に招待されてしまいました。もうすでに心臓がバクバクです。

そして、明日はどんなお客様が来てくださるのでしょうか?お楽しみに!


それでは、いい夢を🌙

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