魔法
ここは、町はずれの一角にひっそりとある、一人の魔女と人間の女の子が営むカフェ。
『ウィッチカフェ』
一般のお客様には見えないように魔法が掛けられており、店の前に斜めに置かれてある看板を、まっすぐに直すとお店が現れるという仕組みになっている。
ひっそりと営業しているウィッチカフェには、いろいろなお客様が訪れる。
いろいろな種族、動物、時には一般のお客様も。
仕事の合間に来る人や、ちょっとした観光、常連さんになってくださっている方も多い。
そんな方々の、ちょっとした憩いの場なのです。
さぁ、本日はどんなお客様が来てくださるのでしょうか?
ん?今日は葵ちゃんの魔法を見てあげる日?すっかり忘れていました。
という事で、葵ちゃんに魔法を教えてきます。
皆様、ごゆっくり。
「今日はよろしくお願いします!」
「そんなにかしこまらなくていいよ。魔法はリラックスした方が上手くできるから」
そう。何事も力んではいけない。力む事によって、想像以上の力を加えてしまい、上手くいかない事が多い。
どんなスポーツでも、どんな勝負事でもそれは同じである。
魔法は特にだ。力むことによって魔法を簡単に出すことは出来たとしても、実際それは魔法とは呼べない。ただただ力を放出しただけなのだ。
魔法とは、程よい力加減とテクニックによって、初めて生み出されるのだ。
その力加減とテクニックをマスターするのは至難の業……。
「葵ちゃん、魔法書の内容は覚えてきた?」
「は、はい!覚えてきました」
これが嘘でなければいいけれど。
「じゃあ、魔法書の第2章に記載されている魔法詠唱を3つ全て唱えよ」
「天の囁きありて、我が力は開花する。真なる力は我が天命。すべてに流れる血よ、我に正しき道を導きたまえ、です!」
「正解。じゃあ次は――」
私は続けて問題を出し続けた。
しかし、葵ちゃんが詠唱を間違えあり、言えなかったりする事は無かった。
「………」
本当に3日間で魔法書をすべて覚えたという事だ。
信じられない……。
「葵ちゃん、3日間の睡眠時間は?」
「え、0です!」
「?!」
この子の覚悟は本物だ。何故今までどこの会社も内定を出さなかったのかさっぱりわからない。
それくらい、葵ちゃんには魅力しかないと私は思った。
「それじゃあ、実際に力を込めて詠唱してみよっか」
「はい!」
と、本日のウィッチカフェはここまで。如何だったでしょうか?
魔王の詠唱は完璧でも、実際発動するとなると話は変わってきます!
次回、葵ちゃんは魔法を習得する事が出来るのか?!
それでは、いい夢を🌙
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます