新入社員?

ここは、町はずれの一角にひっそりとある、一人の魔女が営むカフェ。

『ウィッチカフェ』

一般のお客様には見えないように魔法が掛けられており、店の前に斜めに置かれてある看板を、まっすぐに直すとお店が現れるという仕組みになっている。


ひっそりと営業しているウィッチカフェには、いろいろなお客様が訪れる。

いろいろな種族、動物、時には一般のお客様も。

仕事の合間に来る人や、ちょっとした観光、常連さんになってくださっている方も多い。

そんな方々の、ちょっとした憩いの場なのです。


さぁ、本日はどんなお客様が来てくださるのでしょうか?


カランコロン。


「いらっしゃいませ!」

「あ、あの一人なんですけど大丈夫ですか?」

「はい!こちらの席へどうぞ」


この方は、普通の人間だ。オーラが私たちと少し違う。

しかし、どうやってお店を見つけたのだろう。

誰かの紹介か、たまたまお店の出現条件を満たしたのか……。

まぁ、どちらでもいい。大切なお客様に変わりないのだから。


「おしぼりとお水置いておきますね!ご注文はどうされますか?」

「えっと……オレンジジュースと3種のフィナンシェを」

「かしこまりました!」


フィナンシェが通るのは久しぶりだ。

うちの店にはケーキだけではなく、軽食、和菓子、洋菓子等々も扱っている。

しかし、何故かケーキ以外のものは滅多に注文されない……。

美味しくないのだろうか……。


「お待たせしました、3種のフィナンシェとオレンジジュースです」

「ありがとうございます」


そう言ってお客様はオレンジジュースを一口飲んでから、フィナンシェを一口食べた。

ちなみに、この一般の方は女性だ。


「あ、あの……」

「はい?」

「私をここで働かせてください!」

「え、え~~~~?!」


突然の事過ぎて、思わず大きな声を出してしまった。


「ここで働く?」

「はい。私、ずっと前からパティシエになりたかったんです。でも、一つも内定がもらえなくて……。そんな時通りかかったお店がここだったんです。お店の雰囲気も素敵だし、料理もおいしい。だから、ここで働きたいって思ったんです!」

「な、なるほど……」


どうしたものか。人間と魔女は一緒に暮らすことは出来ても、一緒に仕事をすることは出来ないのだ。

何故なら、魔法を一切使えなくなるから。


ただ………

このままほっておくのも可哀そう……


「わかっりました、雇ってあげます。でも、一つだけ条件があります」

「どんな条件でも受け入れます!」

「魔女になるための修業をしてもらいます!」


簡単な話。人間と魔女がダメなら魔女にしてしまえばいい。


と、本日のウィッチカフェはここまで。如何だったでしょうか?

本日のお客様は一般の女性。次回もこの女性とのお話。果たして、魔女になる事を承諾するのか……。


それでは、いい夢を🌙

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