怠惰の魔女さん

前回、憤怒の魔女ベファーナさんが来店してくださいました!

貴重なチョコレートをお土産で持ってきてくださり、シャアしようとした矢先、新たなお客様が?!

しかも、ベファーナさんのお知り合い?一体どんなお客様なのでしょうか!

では、続きをどうぞ。


「ベファーナいる~?」

「いるわよ~」


ベファーナさんが返事をすると、1人の魔女さんが店内に入ってきた。


「こんな所にいたんね。今日はうちの買い物手伝ってくれる言うとったのに、なにすっぽかしてんの?」

凄い関西弁だ。

「そんな約束してたかしら?最近忘れっぽいのよね、私」

「そのセリフ前も聞いたわ。ええからさっさと行くで。買い物めんどくさいねんから」

「あ、あの~」

「ん?」

私は、2人の会話を遮り、気になる事を問うた。

「お二人は知り合いですか?」

「もちろんよ」


まぁ、誰が見ても知り合いなのは確かだが、この関西弁魔女さんが誰なのか、私は知らないのだ。


「サーちゃん、この子は怠惰の魔女ハーメル。どんな事でもめんどくさがって人に押し付けたり、頼ったりする魔女よ」

「めんどくさがってるんやない。この世のすべてが面倒にできてるだけや」


凄い理屈だ……。


「そうゆうあんたは誰なん?」

「あ、私は『ウィッチカフェ』の店主をしていますサテラです」

「あ~最近話題のあのカフェな。うちも行ってみたかったんよ」

「そう言ってくださりありがとうございます」


私は深々と頭を下げた。


「じゃあ、ハーメルも一緒にチョコ食べればいいじゃない!買い物はあとで行ってあげるから」

「約束やで?」

「もちろん」

「なら、ちょっとお邪魔しようかな」


ハーメルさんは、ベファーナの隣の席に座り、メニューを見始めた。


「このココアくれる?」

「かしこまりました!」


私は、急いでキッチンへと向かいココアを作った。


「お待たせしました。ココアになります」

「ありがとう」

「さぁ、チョコを食べましょう」


そして、ベファーナさんが一口、ハーメルさんが一口、チョコを食した。

その後私も一口食した。


「?!」

口に入れた瞬間、カカオのほろ苦さとイカルの血に含まれる甘さが調和し、まるで口の中でオーケストラが行われているみたいだった。


「こんなチョコ食べた事ないです」

「このチョコ案外いけるやん」

「これがイカルチョコよ」


正直、想像を超える美味しさだった。今まで食べたチョコレートの中でダントツに美味しかったのだ。


「あ、ベファーナ。セール始まってまう。行くで」

そう言って、ハーメルさんは時空のゲートを開いた。


「サーちゃんごめんね、忙しなくて。今度みんなで来るからね」

「うちはめんどくさいからパス」

「あははは」

ハーメルさんの言葉に対して、私は愛想笑いしか出来なかった。


「じゃあ!」

「ありがとうございました!」


ベファーナさんとハーメルさんは時空のゲートへと飛び込み、姿を消した。


本日のウィッチカフェはここまで。如何でしたか?

本日は、憤怒の魔女ベファーナさんと、怠惰の魔女ハーメルさんが来てくださいました。七つの大罪の魔女さんは忙しないですが、そんな短い時間でも濃いと思えてしまいますね。さぁ、明日はどんなお客さんが来てくれるのでしょうか?


それでは、いい夢を🌙

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る