第6話
ミッション買い出しにいざ出発。
咲百合を連れて昨日行った市場へさっそく夕食の買い出しに行く。
宿屋のおばあちゃんことミチェさんに付き合いのあるお店のリストをもらったので挨拶も兼ねている。
しかし、ちょっと不安なのよね。
正直厨房の食材の状態はあまり良いものではなく人の良い老夫婦が騙されて余り物を通常価格で売られているような気がするのでガツンと言ってやろうかしら、それとも取引をやめてタスマニアさんに商会もしくは信用出来る人を紹介してもらった方がいいかもしれわね。
とりあえず1件目のお肉屋さんから
「すみません、お肉を頂きたいのだけれどもお手軽な価格でのオススメってどれかしら?」
とりあえず宿屋のお使いとは言わずに新参者にどんなお肉を出してくるのか見てみましょう。
「らっしゃい、今日のオススメはオークだな、コレなんてオススメだよ!」
うん、どう見ても脂身だらけ!!!しかもちょっと古そう?
「ちなみに赤身の多いお肉はあります?」
オークはこの手の話で定番の二足歩行の豚だろうから出来れば牛肉系の赤身の多いお肉が有れば…
「赤身が多い肉?それならこれなんてどうだい?ミノタウルスの肉だよ!」
そう言って見せてくれたのは確かに赤身だけれどもスジの多い部分で普通なら食べるのが大変な所だろう。
ちょうどそこに、
「こんちわ!今日もいつものよろしく!」
そう言ってやってきたおじさんに肉屋の店員は
「いつもまいど!ほら用意してあるよ。」
取り出してきたのは柔らかそうな部位の程よく脂の乗った部位でひと塊で銀貨2枚払って行った。
「それで、あんたはどうするんだい?」
「ちなみにその2つでおいくら?」
「1つ銀貨1枚だよ。」
さっきのこの1つの塊1.5倍の大きさの質の良さそうな肉で銀貨2枚なのに2つで同じ値段なのはちょっとおかしい。
しかもどう見ても買い手の少なそうな部位なのに吹っ掛けてきているのは新参者だからなのかしら。
「2つで銀貨1枚の間違いではないの?それでもこの質を考えると高いくらいなのに。」
ここは値段交渉ね、しかし、今言った通り2つで銀貨1枚でも高いくらいなのかもしれないのに。
「いやいや、量を考えてくれよこんだけあって銀貨2枚はお得だろ」
女だからバカにしてるのかしら?
交渉するのも馬鹿らしい位の態度だし、肉屋は他にもあるのでさっさと移動する事にしよう。
「それなら要らないわ、また縁があったらよろしくお願いしますね。」
「あ、おいコラ!」
後ろで何か言っていたがさっさと咲百合を抱っこして移動する。
「あんたやるねぇ、アソコはちょっと商売の仕方が意地汚いから無理に買う必要は無いよ!」肉屋の数件先の八百屋で店番をしていたオバサンが声をかけてくれる。
「やっぱり初めて来た客だと舐められてたんですね!教えてくれてありがとうございます。」
「大したことじゃないさ、それよりお前さんここいらじゃ見かけないけれど最近この街に来たんか?」
こういう時っておしゃべり好きのおばちゃんネットワークは馬鹿にならないので仲良くなっておこう。
「はい!まだこの街に来たばかりで、でも仕事が見つかったのでこうして食材を買いに来たのですが、勤め先でいつも使っているというあのお店はもう行きません!」
昨夜の固くて臭い肉は肉屋の仕入れの問題もあったみたいね。
「へぇーどこの店だい?未だにあそこの肉屋と付き合いのあるのは」
「精霊のヤドリギって言う宿屋です。」
「え!あそこの料理が不味いってことは噂になっているけれどあの肉屋使っていたらそうなるね。」
八百屋のおばちゃんは余程あの肉屋が嫌いみたい。
「ちなみになんですけれとも、ミチェさんに聞いてきた他のお店の評判も教えてくれませんか?」
もらったメモをおばちゃんに見せると、
「こりゃ酷い全部ここ数年で代替わりしてたりで質の落ちたと有名な所ばかりじゃないかい!」
メモを覗き込んであきれたように言われてしまったわ。
「やっぱりあの2人、人がいいからだまされているのね。」
「よくもまぁ評判のあまり良くない店が集まったね。唯一昔ながらの良い仕事してるのが、ミルク売りのロンベルトじぃの店だね、」
「ここのミルクは美味しいですよね!私も昨日個人的に買いましたけれどもとっても良かったです。」
とってもコクがあって昔ながらの牛乳ってこんなのだろうなって感じのものだったからミルク粥もフレンチトーストも美味しくできたのもあるんだと思う。
「ありがとうございます。一応1度は自分の目で確認してきます。それとココで個人的な買い物をさせてもらったも良いかしら?」
「ああ、もちろんさ!なにが良いかい?」
「えっと…ソコの赤いやつと」
実は私が持っている鑑定もレアスキルで異世界転移者のおまけ機能付きだったりする。
昨日買ったカボチャもどきも
【ボボン】
ほぼカボチャと同じ
庶民の味方である野菜の1つ
中の身は柔らかく皮は固いが煮れば食べれる。
この様に日本での食材に似たものは教えてくれるのでとっても助かっている。
ちなみに今頼んだのはキャロという人参のような野菜だ。
後はゴコンの実というリンゴのような果実もあったので、異世界あるある天然酵母パンを作ってみようと思うの!
咲百合の喜ぶクリームパンを作ってあげたいし。
「まいどあり!ワタシはマーサ、また困ったことがあればいつでもおいで!」
「ありがとう、私はユーコ、娘はサーユです。これからよろしくお願いします。」
「サーユちゃん、ママとお使い頑張ってね、いい子にしているからコレ、プレゼント」
マーサさんは咲百合にゴゴンを1つくれた。
「ありあとぉ」
「ちゃんとお礼が言えてえらいねまたね。」
「ごちそうさまです。また買い物に来ますね!」
色々教えてくれたマーサさんにはまた頼らせて貰うこもありそうだわ。
八百屋をでて次に向かったのは、薬草屋さんでポーションなんかの薬を作る人向けのお店らしいけれども、見慣れたハーブに足を止めて鑑定してみる。
【ベベン草】
消臭効果・リラックス効果のあるいい香りの薬草の花
あちこちに群生しているので庶民には愛用されている。
捻挫の湿布薬の材料の1つ
ラベンダーによく似ているので香りを楽しめます。
やっぱりラベンダーだわ!
いい香りだったので少し買ってみた。
他にも鑑定してみると、ローズマリーやバジルなども見つけたので知っているハーブ系はほとんど買っておいた。
こういう時時間停止のアイテムBOXは便利ね!
思わず寄り道が長くなってしまったが、次のお店へと急ぐ、
結論だけで言ってしまうと、どこも肉屋さんと大差なかったわ…
どれもお断りして一先ずマーサさんの八百屋に戻ってきている。
「あらあら、分かっちゃいたけど災難だったね、とりあえず宿屋で必要な材料はこれだけかい?」
「ええ、分かっていたけれどここまで続くと疲れますね…あ、あとゴン芋もお願い。」
ゴン芋はじゃがいももどきのあの芋ね!
手作り片栗粉を調べたらちょっと手間はかかるけれど作れるみたいだからチャレンジしようと思ってこれは大量に購入する。
ただ問題はすりおろし金が無い!ホントならジューサーみたいなのが良いんだけどせめてすりおろし金が欲しいところ…
「マーサさん、ちょっと相談なんですが、トゲトゲした板状の道具って何か有りませんか?」
せめてヤスリみたいなのが有れば代用出来るかも?と思いマーサに聞いてみる。
「うーん?そんなの何に使うんだい?」
「ちょっと料理に使いたくて」
チーズをナイフで削るのも大変だしね。
「ちょっと思いつかないねぇ、ちょっとあんた!しばらく店番してておくれ!」
しばらく考えてからマーサは店の奥に向かって大きな声で誰かを呼んだ。
「はいょ」
うん、旦那さんかな?のそっと出てきた男の人は何となくクマを連想させるタイプの人だった。
「よし、ついといで!」
旦那さん?になんにも説明しなくて良いのかしら?と思いつつちょっと疲れた咲百合を抱き抱えマーサの後をついて行く。
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