第8話
「というか春くんの家の隣だよ。」
へっ?
「えっ、と、隣って、は?」
まったく状況が飲み込めない。確かにあそこの家に越したの最近だけど全然知らなかった。
「だからこれから、またよろしくね!」
「お、おう・・・・。」
俺と充希は、奇跡的な再会を果たした。
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「いや〜、また一緒に帰れるなんて思ってもいなかったよ!」
その日の帰り道、充希と俺は一緒に帰っていた。
「家は昔と違うけど、久しぶりに入ってもいい?」
「それは別に構わないけど・・・・。」
「楽しみだなあ〜!光ちゃん今どんな感じなのかなあ?」
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「うわ〜前よりちょっと大きいね!」
そんなにテンション上がるものなのか?
「そうだな・・・・。」
「ていうかゴミとかなんで置きっぱなの?春くんのお母さん綺麗好きじゃん。しょうがない、私が片付けてあげる!」
そういうとリビングの方に向かっていった。まずい、そこにはーーーー
「えっ・・・・、うそ、え?」
そこには、家族の生前の写真と三人分の位牌が置いてあるからだ。
「え?なんで、」
充希はその場で泣き崩れた。親しかった人間がいきなり亡くなっていたことを知ったら、こうもなるだろう。泣き続けている充希に、俺は静かに声をかけた。
「黙っているつもりはなかったんだ。でも、
うまく言えなくて、その、本当にごめん。」
保身なのか、自分の良心からきたのか分からないが、そう言葉が出てきた。
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何分経ったのだろうか。
重い空気のなか、静かに充希が尋ねてきた。
「・・・・春くんは今までどうしてきたの?」
「中二の時に事故って、なんとか生き延びたんだけど、周りの親族が引き取ってくれなくてな。結局親父と仕事仲間の人が引き取ってくれたよ。」
充希が言葉を失っていた。
「今でもほとんど帰ってこないから大体一人かな。でもとくに寂しくはーーーーー
そう言いかけた瞬間、充希が抱きついてきた。
「ど、どうしたーー「春くんはずっと一人だったの?」 」
「まあ、そうだけど・・・・。」
「なら、今度は私がいるから!!!!」
「えっ?」
「私がいるから、一人じゃないよ。」
いつからか、一人が普通であると思い始めた。いや、きっと思い込みなんだと思う。俺はこの言葉を待っていたのかもしれない。でも
「でも、俺は、そんな風に生きちゃダメなんだよ。光たちだけ死んで、俺だけが幸せになれない。」
そう、俺は幸せになるべき人間ではない。
「だからーーーー
そう言いかけた途端、もう泣き止むことができなくなっていた。いつから、俺は自分に嘘をついていたのかもしれない。みんながいなくなってしまった事実を認めたくないが故に。本当はーーー
なあ、親父、母さん、光。俺はどうしたらいいと思う?
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