第14話

 誠と繋がってから三度目の春が来る。三度目の春は東京で迎えた。ここで迎える春に意味はあったのか。誠とは会えないまま時間だけが流れる。


 揺れるイヤリング、ロング丈の青のワンピース。簡単に身支度を整えて事務所に向かう。今日は執筆した歌詞を添削してもらう日だ。


 テーマは片思い、失恋。誠との思い出を元に作った。すると、案外すんなりと歌詞は通った。3点ほど添削してもらい、全て整えて納品する。


 東京での仕事は悩むこともあるけれど順調と言えば順調だった。作詞をしているときもライターとして文章を打っているときも幸せだった。


 これだけでも東京に来た意味がある。


 あとは誠との曖昧な関係にそろそろ白黒付けるときがきたのかもしれない、そう思っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る