少女は命にしがみつく

卯月聖日

第0話 モノローグ:とある少女の後悔

 自分は特別な人間だと、幼い頃から確信があった。


 私には人を救う力があった。


 特別な力には、責任があると思った。その力を正しいことに振るう責任だ。男の子のように、ヒーローに憧れた訳じゃなかったけれど、ヒーローになれるなら、なるべきだと信じていた。


 それは過酷な道だったけれど、まぁ、誰でも想像できるくらいの過酷さで。助けても感謝されないとか、化け物扱いとか……その程度の事だ。


 その程度の事で済まないのは、個人的な『特別』の方。他の誰にとっても大事ではなく、しかし自分にとっては、何よりも大切なもの。


 本当に守るべきはそっちだったのだ。


 私はそれを失った。


 私・守屋朱音もりやあかねの、本当の『特別』を。

 

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