2065 ~荒廃した世界で~

織部暁

プロローグ

 第二次世界大戦以降、世界は比較的安定していたのではないかと僕は思う。

 なぜか?

 少なくとも原子爆弾、核爆弾がその均衡を保っていた。

 核は抑止力だった。

 核を使えば報復として核が使われる。

 そうなれば広島や長崎、ビキニ環礁のような大きな被害が出てしまう。

 自国を守るために平和を誓ってきた。

 はずだったのに…

―我々は核に勝る兵器の開発に成功した―

 この言葉で世界は崩壊してしまった。

 多くの動物、植物、人間が死んだ。

 だが、数少ない人間は地下に逃げ込み生き残った。

 当時、まだ生まれたばかりに赤子に過ぎなかった僕も。

 あの醜い争いから20年が経った。

 生き残った者たちは不自由ながらも新たな地下での生活を楽しんでいる。

 そして今日、僕を含めた数人の若者が兵として近隣の村へ向かった。

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