三節 「旅の目的は?」

 それから、私達はまた歩き始めた。

 開門海峡をまたぐトンネルを抜け、しばらくして福岡に入った。

 夜の街と言われるのもわかるほど、繁華街のネオンライトが辺りを照らす。

 博多はもうすぐだ。 

 私は一人考えていた。

 彼の話を聞いて、彼の罪はわかった。

 しかし、なぜ旅しているかまだわからない。

 彼女との思い出を巡っている?

 でも、彼はいきあたりばったりと言っていた。

 気持ちを新たにするため?彼女を忘れるため?

 どれも一人ではっきりとはわからない。

 ただの憶測だ。

 でも、先程あれ程の告白をしてくれた彼に対して、今すぐそれを聞くなど愚かなことはできない。

 また話してくれるのを待つしかないのか。

 いや、時期を見て私から聞くことができるのだろうか。

 今の私ならできる気がした。

 この短期間で、私は自分の殻を破った。

 周りに合わして演じるのではなく、ありのままの自分を出していける気がした。

 彼は本当の私を受け入れてくれると思い始めていた。

 そして、私は彼についてもっと知りたいと思い始めていた。

 こんな気持ち初めてだ。 

 彼といると『初めて』にたくさん出会える。

 私はまた嬉しくなったのだった。

 そして、私の永遠の話はどう取扱おうかと思った。  

 一人で抱えていてもダメとは思わない。

 でも今の自分の変化に乗じて、さらなる変化を求めたかった。

 何かが起きるかもしれない。

 彼も自分の話をしてくれた。

 旅に勝手についてきてる私も、どうして旅に付き合っているか話してもいい。

 むしろ、話すべきだと思う。

 それは彼に不審に思われるのはなんだか嫌だったから。 

 彼は私のことをどんなふうに考えているのだろうとそんなことが気になった。

 胸が急に熱くなった。

 私は彼を意識しているのだろうか。

 そして、私は永遠について話していいかなと思えた。  

 それは私がする初めてのことだから、色々と期待値も高い。

 そして、彼ならちゃんと聞いてくれると思った。

 博多についたら、話そうと決めたのだった。

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