四章

一節 「永遠を求めて」

 彼の話を聞いて、そんなに重いものを背負っていたのかと正直驚いた。

 彼女に関することとだけ聞いていた。だから少しは重い話かと思っていた。

 しかし、予想を超えてきた。 

 彼がすべてを背負い込む気持ちも分からなくなかった。でも、彼の考えは、どうにも納得のいくものではなかった。

 彼は全力で彼女を守ろうとした。

 それは揺るぎない事実ではないだろうか。

 結果彼女が死んでしまっても、それをすべて自分のせいと罪の意識を感じる必要はあるのだろうか。

 私はそうは感じない。

 でもこの気持ちをどう伝えれば彼は納得してくれるだろうかはわからなかった。

 そして、話を聞いたことが私を変えた。

 彼の話を聞くことで、私と彼の間に何かが生まれた瞬間となった。 

 秘密の共有は、大きな変化をもたらした。

 それが何かはわからない。

 でも、なぜかとても彼が近い存在に思えるようになった。

 私は彼のことをどんなふうに思っているのだろうか。

 わかっていることは、いつも真摯な彼に、少しずつ心を許していくようになったことだ。今までの人生を演じてる私とは大違いだ。

 そして、今話を聞いて浮かんだ感情は同情ではない。可哀想でもない。

 もっと別で深い、特別な思いだ。

 でもこれが何かはわからず戸惑っている。

 そして、忘られない思い出や死は、永遠に近いかもしれないと同時に感じた。

 こんな時に考えるなんて不謹慎かもしれない。

 でも、私の体がそのことにたいして反応してしまう。

 永遠とされるものは、宇宙や神様、結婚の誓いや愛、人の心などがあると言われている。 

 忘られない思い出や死も該当するのではないだろうかと考えた。

 思い出を忘れようとしても忘れない。記憶に残り続ける。

 ときには自分をも苦しめるけど、それでも消えない。

 それは私からすれば、素敵なことだ。

 私も誰かから忘れられないぐらいの存在になりたい。

 また死は、自分が永遠を感じるというよりは周りの人が永遠を感じる気がした。

 その人の死によって、誰かの心が固まってしまう。受け入れられず、ずっと頭から離れない。

 その人の心の中に居続けるといることは、永遠と言えそうだ。

 しかし、人は死んでしまったら何も残らない。

 これが一般的な考え方というよりは、私が死に対してそんな考えを持っている。

 だから、自分から死ぬという選択には永遠としての価値あるのだろうか。いや、ない。

 彼といるだけで、永遠に関することでこんなに閃くことができた。

 私は確実に何かを掴みかけている。

 

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