第881話 鬼のちゃぶ台返し

「ひどい後遺症だよ」

  「何が?」

「ちゃぶ台返し」

  「あー、鬼にやられたっけ?」

「そう、何がどこにあるかも不明」

  「それ、星の世界の習わしだ」

「いつもやってるの?」

  「聖書からそう読めるよ」

「うわーっ!」


・・・

鬼は常に人の思考回路をモニターしながら行動を決めている。


アイデアが浮かぶ。


「そうだ、このテーマで書こう」


そう思った瞬間、鬼が気を散らす。


「あっ!ひっくり返った」

「あーあ、片付けないと」


時間を奪われている間に、書くべきアイデアが消失。



「星家」のちゃぶ台返しは、食卓での出来事だが、鬼の場合は規模が大きい。


人類の再出発を誘った「ノアの大洪水」も、鬼に都合の悪い事態が進展したので、混ぜ返しと誤魔化しを目的にリセットを掛けたわけだ。




 ■過去から引き摺る洪水


当家の場合も、やられた。


追い出しに追い出しを重ね、引っ越しに引っ越しを重ねて投げ込まれた家は、

まるで


「家財の洪水」


片付けや分類や整理に長時間が奪われる。


こうした鬼の狙いが読めるので、家財には一切、手を付けていない。


優先順位の一番に来る「戦いの記事」を記している。


これは鬼にとって計算違いだっただろう。


世に出されては困る記事(神の名や地上の星の話)なども遮断出来なくなっている。



鬼は回遊魚のように巡回し、「悟り」の気配を見つけると撹乱や混ぜ返しを仕掛けて来る。


社会に影響するネット記事も消しまくっているのだ。


しかし今、事情が変った。


世界が知らない「YHWH」の正体・・・


世界が知らない「二枚目」の話・・・


世界が知らない「鬼の実体」・・・


それが阻止できなくなっている。


夜明けの光がバックに差して来たからだろうか?


「ヤコブの相撲に似ている」


そう思った。


もう「鬼のちゃぶ台返し」は通用しない。


朝は限りなく近い。


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