第6話 スライム

「いや~オリス先生、カッコイイよな! 今度会ったらオリス師匠って、呼ぼう!」

「もう、アリスは直ぐに調子に乗るんだから。」

 空手道場から孤児院に帰る途中のアリスとイリス。オリスの指導に感動したアリスの機嫌はとても良かった。

「ぷよ~。ぶよよ~。」

 そこにスライムが現れた。

「出たな!? 俺のライバル!」

 アリスのライバルはスライムだった。

「待って!? アリス!? あいつ、ただのスライムじゃないわ!?」

「なに!?」

 スライムは何か書いているタスキをしていた。

「祝! 最弱脱出! スライム!」

 と書いてあった。

「ゲッ!? まさか!?」

 そのまさかである。スライムはアリスに勝ったので最弱を脱出した。そのためスライムたちは最弱脱出を祝い盛大な最弱脱出祭りを開催し、最弱脱出グッツを大量に製作して売り出していたのだった。最弱脱出タスキもその一つである。

「スライム以下の存在だって。」

「ガーン!」

「最弱はアリスだって。」

「ガーン!」

「ぷぷぷ。」

「スライムに笑われてるぞ。」

「ガーン!」

 イリス必殺のツッコミ三連発である。

「許さん! 許さんぞ! スライムめ! おまえを倒して最弱を返品してやる!」

 アリスは復讐の炎を燃やす。

「アチチチチッ!?」

 燃えすぎて自分が燃えるアリス。

「ちょっとボケ過ぎじゃない? 夕ご飯までに孤児院に帰れないじゃない。」

「イリス、火傷した俺の心配は?」

「私は恋気より食い気よ。」

「ガーン!」

「キャッハッハー!」

 なかなかアリスの恋は実らない。

「やってやる! やってやるぞ! 俺に任せろ!」

 気合十分のアリス。

「ぷよぷよ。」

 スライムは余裕で笑っている。

「でやあー!」

 アリスの攻撃。

「ぷよ!?」

 スライムに1のダメージを与えた。

「当たった!? 俺のパンチが当たったぞ!?」

 これもオリスから戦いの構えを教わったおかげである。アリスの攻撃速度が格段に上がったのである。

「オリス師匠! ありがとう! 俺のパンチはスライムに当たったぜ!」

 それだけでアリスは感動の涙を流した。

「ぷよよ!」

 スライムの攻撃。

「アリス! 危ない!」

 まだスライムの攻撃に気づいていないアリスに声を飛ばすイリス。

「見える!? 見えるぞ! 俺にもスライムの動きが見えるぞ!」

 攻守一体の構えを教わったアリスにはしっかりとスライムの動きが見えた。

「防御!」

 アリスは防御した。

「ぷよ!?」

 スライムの攻撃は防御しているアリスにダメージを与えることができなかった。

「痛くない!? スライムの攻撃でダメージを受けない!? 俺はスライムの攻撃を防ぐことができたのか!?」

 ダメージ0の衝撃がアリスを襲う。

「すごいぜ! オリア先生! ありがとう! オリア師匠!」

 そして師であるオリアに感謝するアリスであった。

「さあ! スライム! 俺たちの戦いに決着を着けようぜ!」

 防御ができたアリスは自分が強く成長したことを感じ自信が溢れてくる。

「ぷよ!?」

 スライムはアリスの戦意を感じてたじろぐ。

「いくぞ! スライム! これが俺の必殺技! アリスパンチだ!」

 アリスはスライムを攻撃する。

「あれ!? スライムがいない!?」

 しかし、アリスのパンチは空振りし、目の前にスライムの姿はなかった。

「アリス!? あっちよ!」

「なに~!?」

 スライムは逃げ出したていた。

「逃がすものか!?」

 アリスは追いかけようとした。

「待って! ここに置手紙があるわ!」

 スライムは置手紙を残していた。

「なになに? 最弱脱出限定グッツの在庫がまだ残っているので戦って負ける訳には行けません。もう少し最弱でいてください。スライムより。」

 スライムは最弱脱出限定グッツの在庫を抱えていたので売り切るまでは負ける訳にはいかなかったので逃げるしかなかったのだ。

「ふざけるな! スライムのくせに字が書けるのか!? 今からでも追いかけてやる!」

「ご飯に遅れるから帰るわよ。」

 アリスよりご飯が大切なイリス。

「アリスの最弱。」

「最弱、言うな!」

 イリスに負けて渋々と帰るアリスであった。

 つづく。

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