第70話 プリクラを撮ろう

 紗良は貰った袋に景品を詰めている。

そこそこ大きなぬいぐるみなので、紗良は少し苦労していた。


「持つよ」

「あ、ありがとうございます」


 俺は、紗良から景品の入った袋を受け取った。


「構わないよ。紗良に持たせても置けないからな」

「では、プリクラを撮りに行きましょう」


 そう言って、紗良はプリクラのエリアに引っ張っていく。


「そんなに引っ張らなくても付いていくから大丈夫だよ」

「あ、はい……」


 紗良は少し照れくさそうに笑った。


「着きましたよ!!」


 紗良が連れてきたくれた場所にはたくさんのプリクラ機が並んでいた。

沢山ありすぎてどれがどう違うのかも分からない。


「これ、何が違うんだ?」

「そうですね。別に大した差はないと思います」

「なるほど。そういうもんなのか。紗良はよく撮るの?」

「そうですね。友達とかと買い物に来たら撮るかもです」


 さすがはJKだ。

俺は、これが人生初のプリクラとなる。


「俺、プリクラ初めてだから紗良に任せるよ」

「うふふ、兄さんの初めて頂きです!」


 何やら紗良は意味深な事を言っている。

そう言うことは、あまり大きな声で言うもんじゃありませんよ。


「では、これにします!」

「おう、了解」


 紗良が決めたプリクラ機の中に入った。


「兄さん、取る時は好きなポーズしていいですからね。あと、出来るだけくっついて下さい」

「お、おう……」


 紗良は俺の腕を掴むと、自分の体の方に引っ張った。

ポーズって言われても何か恥ずかしいもんだな。

内心そう思っていたが、そこから数枚プリクラを撮影した。


「兄さん、最後の1枚です! もっとくっついて下さい!!」

「もっとか?」


 これ以上どうやってくっつくのかという所まで既にくっついている。


「はい、その……肩を組んで撮りたいです……」


 紗良は、白い肌を耳まで赤く染めて言った。


「おう、分かったよ」


 そう言うと、俺は少ししゃがんで身長を紗良に合わせた。


「はい、どうぞ」

「あ、ありがとうございます」


 身長を合わせると俺たちは肩をくんで最後の1枚を取り終わった。


「次はラクガキですよ!」

「おう、それも任せていいか?」

「もちろんです!!」


 紗良はテキパキとタッチパネルを操作していく。

恐るべし今時JK!!


「こんな感じでどうでしょう」


 一通りラクガキが終わったのか紗良が画面を見せてきた。


「おぉ! すごいなこれ」


 そこには女の子らしい可愛いラクガキが施されていた。


「これでいいですか?」

「おう!!」

「では、これで印刷します。後でスマホにも落とせますからね」


 そう言って、紗良は画面を操作し、印刷をする。

最近はスマホにも落とせるのか。

現代技術恐るべし。


「はい、出来ました!!」

「ありがとう!」


 そう言うと、紗良は印刷したものの1枚を俺に渡してくれ

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