第51話 プロット作り

 俺は、電話でプロットの作り方を、小田霧さんに聞いていた。


『へぇー。ついに東條君がこっちの世界にも来たか。私は嬉しいよ』

「はい、俺もいきなりでびっくりですよ」


 小田霧には話していいと言われていたので、帰ってからすぐに電話をした。

最初は随分と驚かれたが、凄く喜んでくれた。


『で、プロットの作り方だっけ?』

「はい、どういうふうに書いたらいいかも分からなくて」

『まず、どういう作品にしたいか明確にしないとだね』


 俺の中では、ラブコメを書いてみたいと大体決まっていた。


「ラブコメにしたいと思っているんです」

『ラブコメかぁ。私も一回書いたけど、ボツにしたんだよな』


 小田霧さんから、タイトル、主人公とヒロインの軽いプロフィール、あらすじ、作品の軸となる物を書き出すといいい、とアドバイスをもらった。


「ありがとうございます。やってみます」

『うん、私も東條君の作品を楽しみにしているよ』

「はい、頑張ります」


 そこまで話すと、小田霧との通話は終了した。


「さて、書くか」


 俺は、デスクトップのパソコンを立ち上げた。

そこに、小田霧のアドレス通りにあらすじなどを打ち込んでいく。


「こんなもんかな」


 一通り、書き出してみると、チェックをしてもらうために朝桐にメールを送った。

すると、すぐに返信がきた。


『兄妹ラブコメですね。こんな感じでいいと思います。後は一緒に詰めていきましょう』


 そんな感じのことが書かれていた。

1週間ご、打ち合わせの約束をし、その日はパソコンを閉じた。


「お仕事、終わったんですか?」


 リビングに降りると、紗良がテレビを眺めていた。


「ああ、とりあえずな」

「お疲れ様です」


 紗良が微笑んでくれた。

その微笑みだけで、疲れが全部吹っ飛んでいく。

そんな輝かしい表情であった。


「ありがとう。ところで、明日か明後日空いてるか?」

「明日なら空いてますが」

「デートしないか?」


 それ以外に言い回しが思い浮かばなかったので、ストレートに言った。

俺の言葉に紗良は、一瞬キョトンとした顔をしたが、すぐに笑顔に戻った。


「兄さんからデートだなんて、嬉しいです! 何着ていこうかな……」


 紗良は嬉しそうに、両手で頬を覆うと、もう服装の話をしだしていた。


「俺の行きたい所で構わないか?」


 行きたいところは、既に決めてあった。


「はい、いいですけど、どこに行きたいんですか?」

「浅草だ」


 書道家ということもあってか、浅草の日本らしいところが好きなのだ。

兄妹ラブコメを書くにしても、紗良とデートするのはいいことだろう。


「浅草、楽しみにしていますね」

「おう、任せとけ。てか、俺はそろそろ寝るけど」


 時計は、深夜の1時を指そうとしていた。


「あ、もう、こんな時間なんですね。私も寝ます」


 そう言うと、お互い歯を磨き、就寝するのであった。

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