第47話 メイド喫茶デート

 2人は、メイド喫茶のメニューに目を落としていた。


「お待たせ致しました。お冷やとおしぼりになります」


 そう言って先ほどと同じメイドさんが2人の前に置いた。


「「ありがとうございます」」

「ご注文、お決まりになりましたか?」


 メイドさんが笑顔で聞いてくれた。


「俺は、普通にアイスコーヒーで」

「私は、アイスティーにします」

「かしこまりました。ガムシロミルクはお付けしますか?」

「要らないです」

「私も」

「はい、かしこまりました」


 注文を取ると、メイドさんは1度、2人の席を離れた。


「メイド喫茶、こんな感じなんですね」


 紗良は、周りをキョロキョロと見ていた。


「俺も初めて来た時はそんな感じだったな。たまに来ると楽しいもんだな」

「そうなんですねぇ」


 そんな事を話しているうちに、注文したドリンクが運ばれて来た。


「お待たせ致しました。アイスコーヒーとアイスティーです」


 2人の前に注文したドリンクが置かれた。


「それでは、美味しくなるおまじないをしますね。美味しくなーれ、萌え萌えキューンでお願いします。行きますよ」


「「「美味しくなーれ、萌え萌えキューン」」」


 これは、慣れる事があるのだろうか。

やっぱり、少し恥ずかしさを覚えた。


「はい、これで美味しくなりましたー」

「あ、ありがとう」

「ありがとうございます」


 2人は、ドリンクに口を付けた。


「初めてましてですよね。私、あこって言います」


 さっきとは別の、黒髪を肩の位置くらいに伸ばした、可愛らしいメイドさんが話しかけてくれた。


「初めましてです」

「お二人は、良く来るんですか?」

「いや、俺はたまに友達の付き合いで来るくらいで、この子は初めまして」


 紗良は絶賛、人見知りを発動していた。


「恋人でメイド喫茶ですか? いいですねー!」

「あ、そう見える?」

「違うんですか?」


 メイドさんは首を傾げた。


「兄妹なんですよ」

「妹です」

「えー、兄妹さんなんですか!? 仲良しですね!」

「まぁ、そうですね」


 メイドさんと話したり、眺めたり、ドリンクを飲んだりしているうちに、1時間が経過しようとしていた。


「お2人、そろそろ延長のお時間なんですけど、どうしますか?」

「お会計でいい?」


 紗良に聞いた。


「はい!」

「じゃあ、お会計で」

「かしこまりました。今、出してきますね。お2人一緒でよろしいですか?」

「大丈夫です」


 メイドさんはレジへと向かった。


「では、こちらになりますね」


 料金の書かれた紙が春輝の前に置かれた。


「はいよ」

「では、ちょうどお預かりします。レシート要ります?」

「もらうよ」


 春輝はレシートを受け取った。


「じゃあ、行くか」

「はい!」


 2人は席を立った。


「「いってらっしゃいませ! ご主人様、お嬢様!」」


 メイドさんたちに見送られ、2人はメイド喫茶を後にした。

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