第31話 体調不良
四人で食事を終えると、店の前で、それぞれ帰路に就いた。
「さて、俺たちも帰るか」
「そうですね……」
二人は、家に向かって歩いた。
その時、紗良にどこか、元気が無いように感じた。
「紗良? 大丈夫か? 何か、顔色悪いぞ」
「大丈夫です……」
「そうか? でも、帰って休んだ方がいい」
「ありがとうございます」
春輝は、紗良の方を気にしながら歩いた。
家の前まで着き、ポケットから鍵を取り出す。
「本当に大丈夫か?」
玄関で靴を脱ぐ、紗良の息が荒いような気がした。
「やっぱり、兄さんには隠せませんでしたね」
「当たり前だ。いま、体温計持って行くから、部屋で寝てろ」
「分かりました」
力なく、頷くと階段を上がって行った。
春輝は、リビングの引き出しから、体温計を取り出すと、紗良の部屋をノックした。
「どうぞ」
その言葉を聞くと、春輝は紗良の部屋に足を踏み入れた。
紗良は、パジャマに着替え、ベッドに布団を被って横になっていた。
「ほれ、体温計持ってきた。計ってみろ」
「はい……」
力なく受けとると、それを脇に挟んだ。
数分後、ピピピと、体温計がなった。
そこには、37.8と表示されていた。
「37.8℃もあるじゃん。こりゃ、これから上がってくるかもしれないな」
「やっぱり、熱もありましたか……」
「そうだな。ちょっと、ドラックストアに行ってくるけど、待ってられるか?」
「はい……大丈夫です」
春輝は、ポケットにQRコード決済の出来るスマホがあることを確認する。
「分かった。ちょっと、色々必要なものを買ってくるから、寝ててな」
「はい……」
その言葉を聞くと、春輝は玄関に鍵を掛けると、ドラックストアに走った。
できるだけ、早く、紗良の元に戻ってやりたかった。
病気で弱っている時は、いつも以上に心細くなるものだ。
歩いても10分かからない所にある、ドラックストアに急いだので5分で到着した。
店内に入り、スポーツドリンクや冷えピタ、マスク、市販の風邪薬、レトルトの雑炊、ゼリーなどを、かごに放り込んでいく。
「とりあえずは、これでいいかな」
一通りの必要なものをかごに入れると、レジに並んだ。
「全部で2800円になります」
「はい、QRでお願いします」
「かしこまりました」
ポケットからスマホを取り出し、QRコード決済に必要なQRコードを画面に表示させた。
「はい、ありがとうございます」
決済完了の音が鳴ると、レジ袋を受け取り、来た道を急いで引き返す。
行きと同様、五分程度で家に戻った。
鍵を開け、紗良の部屋へと向かう。
「戻ったぞ。入るな」
そう言って、春輝は紗良の部屋へと入った。
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