第11話 シスコン疑惑の春輝
翌朝、今日もいつも通りに学校がある。
例のごとく、俺と紗良は仲良く並んで登校する。
「相変わらず見られてる……」
「兄さんが目立つんです」
「いや、紗良だろ。可愛いし」
「そんな、可愛いなんて」
紗良が顔を赤くしていた。
「おうおう、お二人さん、朝からラブラブだねぇ」
振り向くと、ニヤニヤした莉緒が立っていた。
「そんなんじゃ無いわ!」
「おはようございます。莉緒さん」
「うん、二人ともおはよう!」
「朝から元気だなお前は」
俺はため息混じりに言うと、再び歩き出した。
「そんな、疲れた顔してるとモテないぞ」
「別にモテる為に生きてないよ」
「そう。兄妹水いらずに邪魔したわね。私、今日、日直だから先にいくねー!」
そう言うと、莉緒は小走りで学校に向かって行った。
「相変わらず、騒がしいヤツだな……」
「兄さんは、ああいう女の人が好み何ですか?」
「何故そうなる? 仲のいいお友達って感覚よ。恋愛対象にはならんな」
春輝と紗良は、再び学校へと歩き出した。
そのまま、他愛もない話をしながら、校門を潜る。
仲良く、教室の扉を開けると、視線が集まった。
「おい、和也、なんで俺たちはこんなに目立っているんだ?」
自分の席につくと、親友の和也に話しかけた。
「おう、おはよー。何でって、お前は顔だけはイケメンだし、紗良ちゃんは可愛いだろ? お前たちがあまりにも仲良しだから、兄妹ってより、恋人なんじゃないかってさ」
「なんだそりゃ。確かに、義理の妹だけど、妹は妹だよ」
カバンの中を漁りながらそう答えた。
「お前、シスコンになったのか?」
「何故だ?」
「だって、あれだけ女の子には見向きもしなかったお前が、紗良ちゃんにはデレデレっておかしいだろ!」
「別にデレデレなんてしてないだろ」
「無自覚だったのか……」
側から見たら、確かに、俺と紗良は恋人のように見えるのかもしれない。
「まぁ、紗良を可愛がっているのは確かだがな」
「いいよなぁ。お前は可愛い子に囲まれてて」
「別にそうでも無いだろ。お前こそ、彼女居るのにそんな事言ってていいのか?」
「悪い。今の内緒でな」
そう言うと、和也は自分の席に戻って行った。
「はぁ。シスコンねぇ。どうだか」
そう呟き、授業の準備を整えていた。
退屈な午前の授業が終わり、昼食時。
紗良と莉緒、今日は和也も一緒にご飯を食べた。
そして、午後の授業も終わり、放課後となった。
「兄さん、帰りましょう」
カバンを肩にかけた紗良、やって来た。
「悪い、今日は部活なんだ。先に帰っていてくれ」
「そうですか……分かりました!」
紗良は、一瞬、寂しそうな表情を浮かべたが、すぐに笑顔に戻った。
「ああ、部活終わったら連絡するから」
「じゃあ、待っててもいいですか?」
「構わないが、時間かかるぞ?」
「大丈夫です!」
「そうか、ありがとうな」
俺は、紗良の頭をそっと撫でた。
「じゃあ、また後でな!」
「はい!」
紗良は嬉しそうにうなずくと、頬を薄ら赤く染めていた。
その光景を見ていたクラスメイトは、春輝がシスコンである事を、確信したのであった。
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