梓の夢

如月雪人

プロローグ

暗殺者の夢

「……これで終わり、か」

血が付着したナイフを捨て、殺した相手を見つめる。

幼い頃から訓練されてきた彼にとって、ばれないように人を殺す事など容易だった。


 そんな彼には、夢がある。

『普通に生きてみたい』


 周りの人から見れば、何を言っているのか、と言われるかもしれない。

しかし、彼は普通の生活をした事がなかった。

部屋に閉じめられ、依頼が来たら人を殺す。

そんな毎日を過ごしていた。


 ふと、ある日、アイスクリームを美味しそうに食べている子供を見つけた。


——ああいう風に、自由に伸び伸びと生きれたら、どんなに幸せなんだろう


 それから、普通の生活と言うものに憧れるようになっていった。

普通の生活をしている自分を想像しては、心を躍らせる。

人を殺さず、あの子供みたいに自由に生きたい。

それが彼の小さな夢だった。

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