とんだ縁結び

帆高亜希

第1話 金婚式の食事会にて

今日はじいじばあばの金婚式。

うちの母親ママが張り切ってホテルの個室を予約し、皆でお食事会だった。


集まったメンバーは、主役二人と母親ママにうちの父親に私の二つ上の兄、

そして母親ママの妹夫妻(私にとって叔母って立場かな?)


おいしい料理フルコースに舌鼓を打ち、デザートを食べ終えコーヒータイムに入った。



ずっと他愛もない会話で盛り上がる中、

兄ちゃんと私はコーヒーすすりながらスマホいじり。



「こら!智也に美咲!こんなときくらいスマホやめなさいっ!」



やっぱ母親ママに叱られちゃった…。




「いいじゃないの、こんな時くらい」



優しいばあばが宥めてくれたけど、




「良くないっ!全く今時の若者はっ!」



お決まりのコトバで叱りつける。

兄ちゃんはすぐスマホいじりをやめたんだけど、なんだか私は意地でもやめたくなくなってしまったんだけど、

ふと気になっていたこと思い出して手を止めた。



「そーいやさぁ、じいじばあばの馴れ初めってさ、同じ大学だった…っての前に聞いたけどさー、結婚の決め手はなんだったの?」



私のこの問いかけにじいじは咳き込み、隣にいたばあばじいじの背中をさすった。



「このったら!なんでそんなこと訊くかな~?」



母親ママは呆れ顔。



「いや、だってさ、二人とも大学在学中に婚約して卒業とほぼ同時に結婚したって話じゃん?一体なにが起きたかなーって」



私は日頃から感じていた素朴な疑問を口にした。



「おいおい美咲、結婚するのになにが起きたもなにもないだろう?」



さっきまで影の薄かった父親が口を挟む。




「昔の人は結婚早いからでしょう?」



この発言をしたのは、叔母の倫子ちゃん。

いつも的を得ているようで外す発言するよーなタイプだ、隣に座る倫子ちゃんのダンナさんは、さっきからずーっと空気。




「いや、そうじゃなくて…」



「おめーのことだから、子供デキてないのになんでそんな早く結婚すんのか理解できねーだけだろ?」



この兄ちゃんの発言がビンゴなんだけど、

なんだか言い方がムカついて噛みつこうとしたら、



「あらやだ、智ちゃんも美咲ちゃんとおんなじこと考えてたでしょう?わかるわかる、ウチら子なし夫婦ってね、あなたたち位の若い世代に”なんで子供できてないのに結婚したんですかー?“って、よく訊かれるもの~」



倫子ちゃんが珍しくアタリな発言したんで、ちょいビックリした。

隣にいる倫子ちゃんのダンナさんもウンウン頷いている。



「もう、最近の若い人って!そんなきっかけなきゃ結婚しないとでも思ってるわけ?」



ああ、なんだか母親ママが説教モードに入りそうでウザい。



ここで咳き込みから復活したじいじが、



「まあまあ…希望通り美咲ちゃんの聞きたかった決め手を話すから…」



助け舟を出してくれた。



「やだ、あの話をするの!?」



ばあば、なんだか目を剥いている……?



「そういえば私達も知らないよね?」




母親ママと倫子ちゃんは顔を見合わせている。



「コーヒー飲んでいるけど、もう食べ終わったしな…」



じいじはそうつぶやいて語り出した。



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