第26話 遠足……?

 問題と呼べる問題は起きる事なく時間は過ぎて行った。

 5月に入るとすぐに遠足がある。交流を深めようというものらしい。

 正直俺たちに必要とは思わなかったが、実写動画を撮ってみるのもありかと思って、カメラを持ってきていた。


 班もなく、バスの座席も自由とのことだったので、凛と真っ直ぐ一番奥まで行き座った。

 流石に別クラスの美奈はこれないので、反対側には滝が一人で座っていた。


「お前らはいいよなっ、一緒のクラスで!」

「ドンマイ」

「……ドンマイ」

「やっぱお前ら酷くね⁉」


 俺は人に触れてるのが好きらしく、気が付けば凜に抱き着いたり凜の頭を撫でたりしている。流石に人前では恥ずかしいからか無意識とはいえ凜の手を握るだけですんでいる。

 だから家を出てからずっと手を握ってる。凜も嫌がる素振りを見せるどころか嬉しそうな顔をしているので問題ないのだろう。


 ん、そろそろ目的地かな?


「……そういえば連」

「なに?」

「……あれからラブレターは貰ってないよね?」

「ももも、貰ってななな、ないよ⁉」

「……ふ~ん」


 凜に物凄いジト目で見られてしまった。


「……貰ってるんだ」

「い、言い訳させて⁉」

「……聞くだけ聞いてあげる」

「誰とは知らなくても好意を寄せられてるってことは嬉しいじゃん⁉それに好きなのは凜だけだから、ね?」

「何が、ね?なのかは知らないけど……まあいいや。その代わり、ちゃんと私だけを見続けてよね」

「もちろん!」




 今からの遠足を楽しまなくちゃ。

 今回は弁当持参とのことで、凜が早起きして二人分作ってくれた。楽しみだ!


 そうこうしているうちに到着した。

 到着次第自由らしく、滝は真っ先にバスを降りて美奈の元まで走っていった。

 あらかじめ四人で過ごそうと話をしていたので、俺と凜はゆっくり二人のところへ歩いていく。


 入学してからドタバタしていた気がするからこうゆうまったりできる時間はありがたい。

 精々羽を伸ばさせてもらうとするか。

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