第21話 暴露……?

「……むー」

「え?なにこの可愛すぎる生き物」

「……フンッ」


 頬を膨らませたままそっぽを向かれてしまった。

 えっほんとに可愛いんだけど、抱き締めていいかな、いいよね!


 ギュ~


「えっ、なっ、ちょっと⁉」

「あ~も~可愛い~大好き~」


 凜が慌てて離れようとしたが遅い。


「凜あれでしょ?俺が凜以外の女子と喋ったから嫉妬したんでしょ?」

「そそ、そ、そんなわけないじゃん!」

「大丈夫?声震えてるよ?」

「………」


 あらら

 凜が顔を取れ立てのトマトみたく真っ赤にして下を向いてしまった。

 イジメすぎてしまったのかな?

 いや、でも待ってほしい!

 こんな可愛い娘が嫉妬してくれたんだ!必要以上に構いたくなるのもわかるだろ⁉


「あの~……」

「はい?」


 声のする方を見ると10人以上いそうな男女の集団があった。

 学年色を確認すると、なんと全員3年生だった。


「噂って本当なんですか?……いや、それを見れば明らかなんですけど一応確認をと……」

「噂とは?」

「学校中で有名な1年の美少女二人に同時に相手ができて、その片方は顔が極めてよく、1年にして先輩に引きをとらないサッカー部の期待の星。もう片方は本校の生徒であることは分かりつつ、一切の情報が入ってこなかった謎の存在。ある一人の撮った動画により戦ってるときが格好よくその後とのギャップもまたいい!など盛り上がりを見せ、裏ではコッソリファンクラブも出来てしまう程の人」

「………」

「かくいう私もそのファンクラブに所属しています!」

「へ、へーソウナンダ」

「はい!そうなんです!それで⁉噂は真実なんですか⁉」


 いや、まあ。話を聞く限り間違いないんだけど……

 渋い顔をしていると滝が大爆笑しやがった。


「ファンクラブだって?アーハッハッハッハッハ」

「はい、もちろん黒川君のもありますよ」

「ハッハッ……」

「プッ……」

「………」

「………」

「よし、俺らは何も聞かなかった。いいね?連」

「いいだろう。俺らは何も聞いていないし、3年の集団が来たと言う事実もなかった」


 うんうん、と二人で頷いていると


「「私達付き合ってます(よ)!もうラブラブなの(なんですよ)!ね?」」


 息が合って大変よろしゅうございました。


「……連は私の両親とも挨拶が済んでるし、来週からは同じ家♪」

「ちょっ……」


『はあ⁉』


 なんてことをバラしてくれたんだい……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る