第一章黒霊集

黒霊名:せる屍

保有霊刻印:『感染LV1』

 屍街かばねがいを徘徊する人型の屍。動きが鈍く、肉体の殆どが腐っている為に脆い。生前にあったであろう知性は微塵も感じさせず、ただ貪欲に己の飢えを満たそうとしている。戦闘力だけで見るのであれば下の下に位置する黒霊だが、その強烈で醜悪なヴィジュアルと、掠りでもすれば一大事となる感染能力を嫌う探索者は多い。


黒霊名:せる屍(農具)

保有霊刻印:『感染LV1』

 農具を武器として使うせる屍。能力自体は殆ど以前と変わらず、自身の感染能力が伴わない農具での攻撃を主としている為、むしろ弱体化している観がある。但し多くの場合、単体ではなく複数体の黒霊と共に現れる為、油断は禁物である。


黒霊名:束ねる女屍

保有霊刻印:『感染LV1』『耐性・感染LV1』『統率・屍LV1』

 せる屍の希少種。腐敗していても女性型である為、見た目で判別する事は可能。探索者を発見すると、周囲の低級の屍を操り襲わせる。その際、操作された屍は通常よりも狂暴化し、拙いながらも連携を取るようになってしまう。そのような命令を出しているという事で、多少の知性はあると思われるが、意思疎通はできないようだ。不意打ちなどで、発見される前に始末するのが最善。


黒霊名:血染めの屍

保有霊刻印:『感染LV2』

 せる屍の上位種。姿形こそ変わりはしないが、全身が真っ赤に染まっている。運動能力が桁違いに上昇しており、獲物を発見すると全力疾走で追いかけて来る、所謂走る系のゾンビ。飢えもより強まっているのか、探索者を知覚している限りはエリアをも越え、延々と追跡して来るのが大変に厄介。感染能力も一段階強化されている為、何の対抗策もないのであれば、無理に戦わずやり過ごすのが無難。


黒霊名:屍荒し

保有霊刻印:『感染LV1』『跳躍LV1』

 屍街かばねがいの高所に巣を作る鳥型の屍。せる屍以上に脆く、少し強めに叩いた程度で倒せてしまう。しかし、鳥型の屍だけあって飛行能力と感染能力の両方を有しており、更には探索者を発見すると必ず大声で鳴く為、その声で周囲の黒霊が集まってしまう恐れがある。単体での戦闘では雑魚でも、黒の空間の探索という意味では大きな壁となる事を教えてくれる黒霊だ。


黒霊名:爆ぜた大猩猩おおしょうじょう

保有霊刻印:『咆哮LV3』『嗅覚LV2』『耐性・感染LV2』

 本来は屍街かばねがいよりも奥のエリアにいる筈の黒霊。何らかの希少種であるようだ。皮膚が爆ぜて筋肉がむき出しになったゴリラのような姿をしている。但しギョロ目で異常に口が大きいという特徴もある事から、あくまでも似ている動物を挙げるとすれば、の範疇。総合的に判断すれば、その外見は完全に化け物の類だ。見た目通りの怪力を誇り、臭いだけで対象を追えるほどに嗅覚が発達している。特に青霊のそれには敏感に反応し、フロアを幾つか挟んでいたとしても察知する事ができる。更には強力な咆哮能力も備えており、声の圧だけで探索者を吹き飛ばす事が可能。感染の上位耐性を持っている為、屍化もしていない。


大黒霊名:死病振り撒く鼠災(LV1)

保有霊刻印:『感染LV3』『格納・屍LV3』『増殖LV3』

 物病み溝渠ものやみこうきょに巣を構えるネズミ型の大黒霊。下水道を介して謎の病を振り撒き、とある国を壊滅させたとされるが、実際のところは不明。黒色のネズミが群れを成しているように見えるが、実際には一匹の黒ネズミしかおらず、それ以外のネズミは偽物の傀儡でしかない。傀儡のネズミは本体が持つ格納能力の内部で急速に増殖していく為、いくら倒したところで際限なく出現し続ける。しかも傀儡を倒しても魔具は一切成長しないのだから、本当に徒労である。本体はもちろんの事、傀儡のネズミまでもが高レベルの感染能力を有するので、被害を避けながら群れの中から本体を探し出すのは、困難を極めるだろう。ちなみに今回ベクトが倒した大黒霊は最低レベルのもので、レベルが上がる毎に各ステータスと保有霊刻印レベル、傀儡ネズミが一度に展開される数と攻撃パターンが増えていく。

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