バラバラ

 反社会組織への違法献金の疑いがかかり、監視中だった男は首を吊って、足元には四肢が切断された女が転がっていたという。丹念に防腐処理がなされ、第一発見者は最初マネキンだと思ったらしい。


「お帰りなさい」


 一週間後、セーフティハウスの扉を開けると、ソファで女が寛いでいた。キャミソールとハーフパンツから見える手足は、何事もなかったかのようにくっついている。自分達が血眼で探していたUSBを差し出す様は、投げられたボールを得意げに加えて飼い主の許へ持ってきた犬のようだ。


「何処にあった」

「ワタシのお腹の中に」


 引っ掛けた男にはらわたを引きずり出された時、見つけたらしい。フリルの付いた裾を捲ると、腹部にはオレンジ色の絵の具をこすりつけたような跡が遺っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る