女王様気質な彼女に『地獄に堕ちろ』と言われ破局しました。
明日野ともしび
0. 暴言エンド
「地獄に堕ちろよ」
それが彼女と別れる時に最後に言われた言葉だ。その瞬間から俺たちは本当に無関係な人間同士になった。
彼女が一方的に言うには、俺がデートをドタキャンしたとか、自分以外の女と話していたとか、いかにも彼女の言いがかりっぽいのが別れようとした理由らしい。
だが困ったことに俺はそれを否定できない。100%正確という訳でもないのだが、概ね70%は当たってしまっている。
結局、弁解しようとしても、痛いところを突かれた自覚はあるので、しどろもどろになるだけで上手く言い返せなかった。
それに彼女はそんな言い訳を信じてくれるはずもない。
その結果、「地獄に堕ちろよ」なんていう冷酷非道な言葉を言われてしまったのだろう。全ては俺のせいなのだ。いつだって彼女が正しいのだから。
そうなのだ。彼女はいつでも正直で、言いたいことはズバズバ言うくらいにはっきりとした"我"を持っていた。
そんな彼女は何よりも気高く、誰にもへりくだったりしないことが女王気質であると過去に感じた。ついでにそれが彼女のいいところだと彼氏面しながら思ったものだ。
だからこそ『地獄に堕ちろよ』という言葉にはとてつもない重さがあった。飾り気ない純度100%の言葉などだとすぐに分かった。
こうなったら俺はもう閉口するしかない。彼女なりの確信の元の言葉だ。絶対に正しい。そこには異論も反論も認めない。
だが疑念は残る。その疑念というのは、どの段階で彼女の"疑念"が"確信"に変化したのか。その一点のみがこの破局の不可解な点だ。
まあ、これは考えすぎても意味などない。
これは詰まるところ俺、春宮響太郎と元カノ、鷹瀬カンナの既に終わった恋の話なのだ。俺がどうこうできるものでは、ない。
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