第8話 大和皇国へ
「そうだ。 神聖王国は北方連合に落とされて、敵国の支配下に置かれている。 神聖王国の王たちの生死は定かではないが、危険な状況にいることは確かだろう」
「それ本当なの!? 私の国がそんな状況にあったなんて……逃がしてくれたお兄様のためにも、必ず国を取り戻さないと!」
美桜が琴葉と伊織に言うと、武蔵がたった三人でどうするつもりだと武蔵が眼を細めて言った。それに対して美桜は三人だけでもと言うと、茉莉が三人じゃないぞと言う。
「私もいれて四人だ! これでも弱いか!」
「弱い。 それでもたった四人だ。 それで何が出来る」
武蔵の言葉を受けた四人は、黙ってしまう。その四人はどうすればいいかと考えていると、伊織が大和皇国と共に戦わせてくれと武蔵に言い始めた。
「美桜は支配されてた国の王女でしょ!? 恩を売っておけば戦争が終わった後に便宜を図ってくれるかもしれない! そうなったら美桜に力を貸したあんたや大和皇国において多大な利益になるんじゃないのか!?」
伊織の言葉を聞いた武蔵は、それもそうかと小さく呟く。そして武蔵は、一緒に国に来てもらおうと四人に言った。
「大和皇国にいる私の上司に連絡をし、皇帝に取り次ぐこととなるだろう」
武蔵の言葉を聞いた美桜は、微かな光が見えたと歓喜していた。
「ありがとうございます! よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします」
美桜と琴葉が武蔵に感謝の言葉を述べると、武蔵はまだ喜ぶのは早いと言う。
「決まったわけではない。 それでも決まる確率は高いだろうけどな」
武蔵は眼鏡を軽く持ち上げると、部下たちを村に残して命令が下るまでそこの女の部下と共にこの村の守護と周辺の警戒をしてろと命じた。武蔵は美桜たちを大和皇国に連れて行くと言い、村から出ようとする。美桜たちはその際に少し待ってと武蔵に言った。
「少しだけだぞ。 早くしてくれよな」
「ありがとうございます!」
美桜は武蔵にありがとうございますと言うと、駆け足で愛の側に近寄る。愛は美桜を見ると、行っちゃうのと話しかけた。
「ごめんね。 私たちも戦うために旅立っちゃうの……落ち着いたらこの村にまた来るからね! その時は一緒に遊ぼうね!」
「うん! 一緒に遊ぶ! 沢山遊ぼうね!」
美桜は愛を抱きしめると、またねと言って美桜は伊織たちのもとに戻った。伊織と琴葉は愛に手を振ってまた来るねと二人とも言っていた。
「お待たせしました!」
「待ったよ。 まぁこういうこともたまには良いのかもな」
武蔵が美桜にそう言うと、美桜は微笑して怖いと思ってたけどこういう面もあるのねと武蔵を見て考えていた。
「さて、村を出て北側に移動をして途中の村で馬車に乗って大和皇国に行くぞ。だいたい四日くらいかかる見込みだ」
四日と聞いて美桜は予想より早いわと驚いていた。伊織や琴葉も結構早いと驚いているようである。茉莉はこの国の馬車は結構早いんだぜと胸を張っている。
「お前が胸を張る必要はない。 この大和皇国の調教技術が高いんだ」
武蔵に指摘された茉莉は、嫌いだわこの男と琴葉に話し始めた。琴葉は困った顔をし始めて伊織に助けてと言うが、伊織はそそくさと美桜の横に移動をしてしまった。村を出た五人は、大和皇国に向けて歩き出した。これから本格的に国を取り戻して未来を掴むために美桜たちは戦いを始めるのである。
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