不思議を解決するならここへ

@saihimayushima

プロローグ

都会から少し外れた、田舎とまではいえない静かな場所。

程よい緑に囲まれた木造の平屋。朝日が上る時間に合わせて、玄関が開く。


ひょろりとした薄い体に、黄金色をした細縁フレームの眼鏡をした青年が眠そうな目を擦りながら出てくる。

朝日がキラキラと反射する黒髪をはらうと、立てかけていた箒で落ちている葉を掃き出している。


黙々と履いていると後ろからサクサクと草を踏む音がした。

「よぉ、毎朝精が出るな」

振り返るとよく知る顔がニコリと笑う。

「玉木の婆さんから、卵もらったぞ。この間の礼だと」

嬉しそうに卵が入った袋を顔まで持ち上げ見せてくる。

「おはよう。もうすぐ終わるので、縁側で待ってて」

「あい、わかった」

鼻歌まじりに縁側に向かう背中を見やる。

黒髪の青年、もとい瀬田清守は集めた落ち葉をまとめるとその背中を追いかけた。

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