015 かく

 …――かくで世界が滅ぶというニュースを目にしてしまったら君は一体どうする?


 僕は、書いて書いてかいて書いて書いて書きまくるだろう。


 死して意識が無くなるその時まで。


 そしてかくッ!


 物書きとして。


 もちろん安直に核と書くをかけたわけではない。僕は小説家の半熟タマゴであるから死の間際まで書いていたいと願うだけなのだ。執筆に熱中しすぎて女性と一切ふれ合えなかったというほどにかく事が好きだからこそ。今年で四十を超える。


 だが、かく事に熱中するあまりに、いまだ童貞なのである。


 とにかくだからこそ書いてかいて書いて書いて書いて書いて書いてかくしかない。


 たとえ、あそこの国から核という名の企画外が発射されて次の瞬間滅ぶとしても。


 書いて書いて書いて書いて書いて書いてかくッ。


 モブが言った。


「そこ。角が利いている。君の角、詰んじゃうよ」


 もちろん将棋などしていない。一心不乱にかき続けているだけ。モブの言葉はなんなのかという疑問がだが、それは小説の中での話。今、書いている物語の中でモブが放った言葉を書いた。その際、僕が登場人物になりきり、呟いてしまった。


 僕よ。かくも、うかつなやつ、かくかたりてだ。


 嗚呼、僕は、なんて格の低い人間なんだろうか。


 だって、そうまでして書いて書いて書いて書いてかいて書いても結局は駄作しか書けないんだから。今しがた書いているこの作品も多分、駄作で終わる。情けないけどそう思う。せめて世界が滅ぶ前に覚醒して一つは名作を書きたい。いや、書く。


 無論、そののち滅ぶわけだから後世に残らない。


 が、それでも名作を書くのが作家の覚悟というやつだろう。


 そしてかくのは人間が本能となる。


 だから書いて書いて書いて書いて書いて書いて、その後、かく事が僕自身なのだ。


 フィニッシュ!


「あー、かくの気持ちえがったわ。ティッシュ、ティッシュ」


 僕は、今、書きながらかいていた。


 押忍、格さんのHなムキムキ授業なる作品を己で書きそれをオカズにかいたのだ。


 そうだ。


 格さんでかいたのだッ!?


 その後、格さんでかいた事実がネットで拡散されてしまう。


 かくして僕という外殻が、かく事で滅んでしまったわけだ。


 尻をぼりぼりと掻きつつ。


 角膜を赤く腫らし泣いた。


 各人へと告ぐ、格さんでの拡散には気をつけろ。


 以上ッ!

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