仮想通貨で俺は兆利人を目指す!

ぶらっく3だ

1章

第1話 俺は兆利人を目指す

 狂おしい程に、求めた。金が、金がいる。俺に、金を寄こせ!


 ふと、目を覚ますと俺は妙な渦巻く光の世界にぽつりと漂っていた。


 な、ん、だ。

 確か、俺は両親をはじめ妹などの家族、愛する恋人、友人、知人、そして国を。

俺は、全てを奪われた。


 なのに、俺は復讐することも出来ずに、こんな訳のわからない空間に漂い、ただ朽ち果てていくのか。な、何故だ。俺には、復讐のチャンスすらないのか?


「ふっ、それは坊やだからよ。ま、是非もない。力も無い、親の七光りで生きてきたリューラン王国の皇太子、貴様の無様は、他でも無いお前自身が招いたことだよ」


 な、何者?俺を皇太子と知っていて嘲弄するとは。奴の仲間なのか、ならばまだ復讐の機会があるかも知れない。


「まあ、よい。坊やの望み叶えてやっても良いぞ。ただし、すぐにという訳にはいかぬが。まあ、それは坊やの働き次第で早くも、遅くも、永遠に叶わぬこともあるがな」


 何時の間にやら、胸を強調するかのように開いた赤いドレスを着た女が俺の前に、浮かんでいた。


「俺の望みを、国を奪い返し、復讐する。これができるなら、何だってやってやる。さあ、言え、俺に何をさせたい!」

 俺は、叫んだ。理屈などどうでもいい、結果がすべてだ。


「ふ、ならば。問おう、金儲けに命を掛けられるか?それも、祖国から遠く離れた、この地球という惑星でだ」


「やる、阿漕な商売だろうと、遠い星に追放されようとも。俺は俺の国を取り戻し、復讐するためなら、闇の商人だろうとやってやる!俺は、仮想通貨で兆利人を目指す!!」


「ふふ。威勢の良いことだ。よかろう、ならば我が使徒として行け、銭の道は厳しいぞ。あと、いくつか能力はサービスで付けてやったが、無駄遣いするなよ。何しろ我は、富豪の神だから、ケチなんだよ」


「う、うわー」

 俺は、急激に身体の位置が上下左右に変化し、身体が重くなったり、軽くなったりの衝撃で気を失った。

 

「我が名を気安く呼んでくれるなよ。エンドロ・ペニー、私の名前だよ、これが」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る