友達いない
ペンギン
第1話 友達って何? 友達の作り方
あんな奴らなんか友達じゃない!
友達なんかいらない!
中学1年生のとき、「友達なんか作らない」って、僕はそう誓ったんだ。
でも……
今は、中学2年生、友達がほしいと思ってる。孤独で死ぬ。
学校は休み時間、皆が楽しそうに話しているのを聞き耳立てながら、机に伏せている僕はそう思う。
僕の1日は、勉強して、休み時間は、机に伏せて、昼ごはんは便所飯、それからまた、勉強と机に伏せるのを繰り返して、家に帰る。そんな毎日だ。
でも、友達なんか作らない。傷つくくらいなら、今の方がマシだ。
そう思いながら僕は、家のベッドでゴロゴロしている。
ピロリン。スマホの通知が来る。
昔やっていたtwiterのダイレクトメールだ。
誰からだろう。
「こんにちわ!絵がすごく上手くて、連絡しちゃいました!」
アイコンが変なクマのマークをしている。名前はとわって書いてる。
ほっておこう。
僕は1年前まで書いた絵をゆいとという名前で、twitterにあげていた。でも、絵のことは思い出したくない。あいつの事を思い出すから、今、友達がいないのも全部あいつのせいなんだ。
ピロリン
「どうやったら、そんなうまく絵がかけるんですか?」
また、とわとかいう奴か、連続で送ってくんなよ。鬱陶しいな。
……
まっまぁ、ちょっとぐらいこいつの絵をみてやってもいいかな。
僕は、twitter上でそいつの絵を見る。
上手いな。何よりも書いてる絵の量が半端ない。1日に1枚は絵を書いてるし、ジャンルも色んな種類の絵を書いてる。
なによりも絵を書くのを楽しんでる……
こんな奴と友達だったらな……
……
はぁ〜僕はやっぱり友達がほしいんだな。
でも、友達なんていらないんだ。楽しくても、いつか裏切られるから…
でも、本当に友達っているのか?
そもそも友達ってなんなんだ?
「友達で悩んでるんじゃな!わしが友達を説明してやろう!」
「誰っ?!」
僕は今、選択を迫られている。
・おっさんから逃げる
・おっさんの話を聞く
→僕はおっさんから逃げるを選ぶ。
危険だ!逃げなければ!!
僕は、慌てて部屋を出ようとするが、何故かドアがあかない。
「はっはっは。ドアは開かないぞ!」
「お前は誰だ!」
「私はアリストテレス。哲学者じゃ」
「アリストテレス……万物の祖と言われる哲学者か」
「お主、私が誰かわかるのか?!なかなか見どころがあるのう」
なんだかおっさんは嬉しそうだ。
「わしが友達とは何かを教えてやろう!」
確かに友達が何かは気になる。ドアが閉まっていて、逃げることもできなさそうだし、僕は話を聞くことにした。
「いいか。小僧。友達には3種類ある。
その1 一緒にいると自分が成長できる友達
その2 一緒にいると心地いい友達
その3 一緒にいると利益をもたらす友達
じゃ」
「友達にも種類があるんだ」
「そうじゃ。1つ1つ説明していくぞ。まずは、【一緒にいると自分自身が成長できる友達】じゃ。例えば、サッカーとか吹奏楽などの部活動で切磋琢磨する友達のことじゃ。同じ目的を共に頑張る仲間とも言える。この友達と一緒にいることで、自分自身も頑張ろうと思えたり、何かの学びを得られる友達のことじゃ」
「……」
「有名人でいうと、アップル社のジョブズとウォズニアックや、ビートルズのジョン・レノン&ポール・マッカートニーとかがこの友達じゃな。彼らは、二人だからこそ、その分野の革新・革命を起こした。こういう成長しあえる友達がいるってことは幸せなことじゃ」
「一緒にいると自分自身が成長できる……でも、僕はまだ、そんな友達に出会ったことがない」
「お主が言うとおり、この友達に出会うこと自体が非常に難しい。まず、自分が目指すものがなければ、切磋琢磨することがなければ、この友達を作るのは困難を極める。お主は何か頑張ってることはあるか?」
「今は特に何もしてない」
「今は?昔は何かをしていたのか?」
「うん。僕は絵を書くことを頑張ってたんだ」
「そうか。なら絵を一緒に書く奴なら、この友達になれるかもしれないな」
僕はtwitterのとわの事を思い出した。いやいや、あんな面倒くさそうな奴は、ないない。それとあいつのことを思い出すから、絵はもう書きたくないんだ。
「2つ目は、【一緒にいると心地いい友達(快適なもの)】じゃ。一緒にいるだけで楽しい。そんな友達のことじゃ。無意識かもしれんが、みんなが友達を作ってる一番の理由がこれじゃ」
「一緒にいると心地良い友達……」
「そうじゃ。この友達は自分の成長とか関係なく、ただただ、一緒にいて楽しい。そんな友達じゃ。気をつけたいのが、【一緒にいると成長できる友達】と混同することじゃ。一緒に楽しいことをしたい。笑い合いたいと思ってる友達に対して、成長するためのアドバイスやまじめな話をしても、えっ何言ってんの?ってなるじゃろ」
「うん……」
確かに心当たりがある。
小学生の絵の授業のときに、周りの友達に色々アドバイスをしたことがあったけど、後で陰口を言われた。
「あいつ何本気になってんの?あいつと話してもなんか噛み合わないんだよな」
あのとき僕は、向上心のない奴らめ!と思ってた。でも、もしかしたら、相手は心地よい友達を求めていて、別に絵が上手になる、成長するための話なんかしたくなかったのかも知れない。
でも……
「僕は心地よい友達よりも、成長できる友達が向いてるかもしれない」
「良いところに気づいたのぅ。人によってどんな友達が作りたいかは違ってくる。だから、自分にあった友達と仲良くなるのがいいんじゃよ」
「人によってどんな友達を作りたいかは違う……」
「そうじゃ。今から3つ目の友達を話すが、どんな友達が自分にあってるのかを考えながら聞くといいじゃろ」
「うん」
「3つ目は一緒にいると利益をもたらす友達(有用なもの)じゃ」
「利益をもたらす友達ってなんだか怪しげな友達じゃん」
「そうじゃ。この友達は一緒にいるとお金儲けができる。また、集団に入っておけば、他の集団からの攻撃に合わないで済む。そんな利益になる友達じゃ」
「なんかすごく友達って感じがしないね」
「そうじゃな。ただ、こういう友達も実際にいるじゃろ。この友達は自分の利益がなくなるといなくなる」
「確かにいるね……僕は絵のコンクールとかで、優勝してたから、結構、有名だったんだ。その時は、みんな僕と友達になりたがった。でも、ある出来事があって、僕が絵を書かなくなったら、いなくなった。それは友だちになった目的が、僕が有名で、僕といると他のグループよりも、目立つことが出来たからかも知れない……」
「そうかもしれんな……」
「その3つの中だと、一緒にいると自分が成長できる友達がいいな。友達の種類を教えてくれてありがとう。でも、僕は友達が本当にいるのかわからない。友達って本当に必要なの?」
「それについては議論の余地はある。ただ、わしは友達は必要じゃと考える。人は一人では生きられない。自分的には一人で生きているつもりでも、食事、仕事、SNSや掲示板等で何かしら他者と繋がっていたり、他者から、提供されたものを食べたり楽しんだりしている。人はもともと支え合いながらしか生きていけない。人は一人では生きられないんじゃ。一人で生きれるのは神様だけじゃな」
「一人では生きていけない。友達は必要……」
「ただ、注意もある。友達ができるだけ多くいることを求めるのは、おそらく適切ではない、むしろ、ともに生きるのに十分な数の友達を求めることが適切なのである。自分のしたいことや、自由を妨げるような奴は、全く持って不要じゃ。友達にも条件があるんじゃよ」
「友達の条件……」
「まぁこの話はまた、今度しよう……とわという奴は、なかなか面白そうな奴じゃとわしも思うぞ」
なんで?とわのことを知ってるんだ?と言いたかったけど、それを聞く前におっさんは消えていった……
ピロリン
「ゆいとの絵を模写してみました\(^o^)/どう思いますか?」
とわとか言うやつ勝手に人の絵を模写しやがって……
返信してないのに、連続で送り過ぎだろ……
俺の絵を表面上だけ真似ても意味ないのに。
でも、模写がすごくうまいな……
僕はおっさんの言葉を思い出す。
「人は一人では生きられない。成長しあえる友達がいるってことは幸せなことじゃ」
確かに僕は一人だと孤独で死んでしまいそうだ。成長できる友達がほしい。また、裏切られるのは怖いけど。
僕は勇気を振り絞って、twitterの返信をする。なんて書けばいいかわかんないや。
とりあえず
「俺の絵をパクってんじゃねーよ。下手くそ」
と書いて、送信ボタンを押そうとしたとき、
「バカモーン!!」
なっなんだよ!
さっき消えたおっさんが戻ってきてる。
「自分が友達に望んでいる通りに、友達には振る舞わねばならぬ!お主には友達の条件も説明する必要がありそうじゃ!」
つづく
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