第四話
学は、ベッドに寝転んでぼんやりと天井を眺めていた。
携帯電話が鳴った。電話だ。アドレス帳に登録されていない番号で、番号のみが表示されていた。
知らない番号だった。誰だろうか。
彼は電話に出るかどうかしばらくためらっていたが、十回以上コールしても切られる様子がないため、仕方なく電話に出た。
「もしもし」
「こんにちは秋月です」
男の声だった。
「誰?」
「誰ってこの間会ったじゃないか。オレンジの会で。秋月蓮治だよ。覚えてない?」
自分と麻衣に携帯ゲーム機を渡してきた男が確かそんな名前だった気がした。
「あー、なんとなくだけど、覚えてるかも。で、何の用? なんで俺の携帯の番号知ってんの?」
「この間麻衣ちゃんから聞いたんだ」
「麻衣のやつ余計なことを……」
「ごめんな。ねぇ、今日暇かな?」
「忙しい」
「そうなんだ? 何してんの?」
「2ちゃんのまとめサイト見てる真っ最中」
と、嘘をついた。八十三オレンジの会は学の居場所じゃなかった。今日暇かな、という問いは自分をこれからどこかに誘おうとしているのだと思った。この秋月蓮治とかいう男とは遊ぶ気にもならなかったし、電話も早く終わらせたかった。
「ちなみに今は『天皇陛下がドラクエをなされたときにありがちなこと』を読んでる。これがまたすげーおもしろいんだわ」
「それ、めっちゃ暇ってことじゃん!」
「そうとも言うな」
「じゃあさ、この間、あんまり君と話せなかったからさ、よかったら今から遊ばない?」
「うーん、あんまり気乗りしないなぁ」
「そんなこと言わずにさー。な、いいだろ?」
秋月蓮治は、なんというか、不思議な男だった。だから尋ねてみることにした。
「ひとつ聞きたいんだけど、世間のひきこもりのニートってみんなお前みたいに積極的で活動的なの? みんな俺みたいなやつばっかりだと思ってたんだけど」
「どうだろう? 俺変かな」
「変だよ」
結局断りきれず、秋月蓮治と遊ぶことになってしまった。
八十三町の駅前の待ち合わせスポット、町のマスコットキャラクター「きんちゃん」の銅像の前で学は秋月を待った。
きんちゃんはいわゆるご当地ゆるキャラで、八十三町が金魚の名産地だからか、金魚から手足が生えた不気味なキャラクターだった。なんでも手足をつければいいというものではないと学は思った。
きんちゃんを眺めていると、秋月蓮治はすぐにやってきた。
「やあ」
と手を上げた彼を、
「よう」
と、気乗りしない声で学は出迎えた。
「突然呼び出したりしてごめんな」
「別に……」
思わず、大物若手女優の記者会見みたいな返事をしてしまった。あの女優は今も女優を続けているのだろうか。もうずっと未来星人ぷぷるん以外テレビを見ていないからわからなかった。
「で、何して遊ぶの? 俺あんまり金持ってないんだけど。あ、モンスターイーターだけは勘弁な」
そう言うと、
「チュートリアルの卵運ぶので挫折したくらいだもんね」
秋月蓮治は笑った。麻衣ちゃんはちゃんと運べてたよ、とも言った。
「あんなクソゲー、何百時間もやる奴の気がしれない」
「俺、シリーズで通算七千時間超えたよ」
「お前どんだけ暇なんだよ」
「だって、俺、ひきこもりのニートだし」
そう言って秋月蓮治は笑った。
気に入らない奴と最初は思ったが、悪い奴ではなさそうだった。
「うーん、俺もあんまり金ないからなぁ、スタバでちょっと話そうか」
「スタバ……」
その名前を聞いた途端、学は体が鉛のように重くなった。
「どうかした?」
そう尋ねてくる秋月蓮治に、
「あんなおしゃれなとこ、入ったことない」
学はそう答えた。
「実は俺も。見得はっちゃった」
と秋月蓮治は言って、ふたりは笑い合った。
スタバで学と秋月蓮治は向かい合って座り、
「なんでサイズがSとかMとかじゃないんだよ。トールとかグランデとか、RPGの魔法かよ」
悪態をつく学を、「はは」と秋月蓮治は笑った。
「お前のそれ、なんだっけ?」
と、学は彼が頼んだものを指差した。
「ホワイトチョコレートモカフラペチーノのグランデ、追加でキャラメルソースヘーゼルナッツシロップチョコレートチップエキストラホイップのエスプレッソショット」
「え? なんだって?」
「だから、ホワイトチョコレートモカフラペチーノのグランデ、追加でキャラメルソースヘーゼルナッツシロップチョコレートチップエキストラホイップのエスプレッソショットだよ」
彼が何言ってるのか学にはさっぱりわからなかった。
「お前、スタバ初めてとか嘘だろ」
「実は結構通ってる」
学は、なんだか負けたような気がして、悔しそうな顔をした。
「俺さ、デザイナーになるのが夢なんだ」
突然、秋月蓮治はそう言って、鞄からスケッチブックを取り出した。
「なんだよ、やぶからぼうに。デザイナー? 服の?」
「違う違う。アニメとかのロボットのほう」
「ああ、そっちの……」
「な、マスカレイドアバターってどう思う?」
学は、ぎくりとした。
「あー、ま、四十年も続いてるし、すごいんじゃないの?」
と言うしかなかった。まさか自分がマスカレイドアバターだなんて人に話せるわけがなかった。頭がどうかしていると思われるに違いない。おまけにその格好で中学時代のいじめの仕返しをしているだなんて言えるわけがなかった。
「観たことはある?」
「こどものころにね。ぷぷるんなら毎週観てるけど」
そう言うと、秋月は頭を抱えて、
「そっち系かー」
と言った。
「ま、いっか。俺、マスカレイドアバターがすごい好きでさ。これ、俺が描いたオリジナルのマスカレイドアバターなんだけど」
秋月はスケッチブックを開いた。そこには彼の自作のマスカレイドアバターの絵が描かれていて、結構かっこよかった。
テレビの本家マスカレイドアバターはここ数年、宇宙飛行士だったり魔法使いだったり、おまけにフルーツで変身する鎧武者だったり、随分とまぁネタ切れ臭のするものだと聞いていたが、秋月の書いたオリジナルのそれは昔ながらのマスカレイドアバターを現代風にアレンジした感じで見事と言わざるを得なかった。
「え? これ、お前が書いたの? すげえ、なにこれ。お前超うまいじゃん」
どことなく、変身した自分に似ている気がした。違うのはそのマスカレイドアバターが左手に大剣を持っており、右手首がなかったことだ。右手はさまざまな重火器に換装可能という設定らしい。
「ありがとう。実はさ、今自主製作で映画を撮ろうと思ってて。このマスカレイドアバターのスーツを自作してるんだ」
と、秋月は言った。
「スーツを自作ってお前そんなこともできるの?」
「一応芸大出てるからね」
と言って、秋月は照れた。
「すげぇな」
という言葉しか出てこなかった。自分は高校すら出ていないのに。芸大まで出ていて、こんなに絵がうまいのに、ひきこもりのニートをしているなんてもったいない気がした。
「でもひとつ問題があって」
秋月蓮治が言った。
「問題?」
「スーツはもうすぐできるんだけど、話がまったく思い付かないんだ」
彼は言った。
「動画サイトとかにさ、自主製作で俺みたいにマスカレイドアバターの映画撮って公開してる連中がいるんだけど、どれもこれもアクションシーンだけで話がなくてさ」
「話がないんじゃ映画じゃないじゃん」
「だろ? そう思うよな? だから俺、ちゃんと話がある、本物のマスカレイドアバターにも負けないようなの撮りたいんだよ」
「話か……話ねぇ……」
学は、少し考えたあとで、
「ひきこもりのニートが、ある朝目をさましたらマスカレイドアバターになっていた」
そう言った。
秋月蓮治が、え? という顔をした。
「で、なんで自分がマスカレイドアバターになってしまったのかわからない、おまけに変身の解除の仕方もわからなくて、部屋でひとり悪戦苦闘する、こういうのはどう?」
それは学が実際に体験したことだったが、映画の導入部分としてはなかなかおもしろそうだなと話しながら自分でも思った。
「なにそれすげーおもしろそう!」
ありがたいことに、彼も興味を示してくれた。だから少しだけ自分のことを彼に話そうと思った。
「昔、小説書いてたんだ。最近まで忘れてたけど、小説家になりたくてさ……。だから、話考えるくらいならできると思う」
小説家になりたかったなんていう昔の夢のことは先日伊藤香織に会うまですっかり忘れていた。彼女との再会は最悪な形になってしまったけれど、その夢を思い出させてくれたのは正直彼女に感謝したい気持ちだった。また物語を書いてみるのも悪くないかもしれない、そんな気持ちにさせてくれたのは彼女のおかげだ。
「まじで? 書いてくれるのか?」
「監督が納得するものを書けるかどうかわからないけど」
学は、彼を監督と呼んでみることにした。
「ありがとう! マジで、ホント、ありがとう!!」
まだ書いてもいないのに、そんな感謝されても困ると思ったが、生まれてはじめて友達ができた、学はそのことの方が嬉しかった。
学は毎日麻衣を学校まで送り迎えすることにした。
たったそれだけのことだったけれど、麻衣はとても喜んでくれた。
夕方、八十三高校の正門のあたりで学は麻衣を待っていた。待っている間、携帯電話に秋月蓮治に頼まれた映画のシナリオを打ち込んでいた。
携帯電話は時間も場所を選ばずに思いついたことをその場で打ち込める。パソコンにメールで送っておき、あとでそれをちゃんとした形にまとめる、それが学の小説の書き方だった。パソコンにずっと向かっていると疲れるから、それが彼にはよく合っていた。
部活動の時間の終わりを告げるチャイムが鳴り、
「もうそろそろかな……」
高校の校舎を見上げる学のすぐそばに、黒塗りの大きな車が止まった。
ドアが開き、一斉に出てきた黒いスーツ姿にサングラスをかけた、メンインブラックを彷彿とさせる屈強な男たちが数人、学を取り囲んだ。
「おい、なんだよ、やめろ!」
学は男たちにその車の中にひきずりこまれてしまった。
「一体、なんだってんだよ!?」
車が発進する。
「はじめまして、加藤学」
声がした後部座席を振り返ると、女が座っていた。車はVIP御用達のワインセラーがあるような高級車で、学がひきずりこまれたのは、運転席と後部座席の間だった。
「あんた、誰だ?」
「ミサ、とだけ名乗っておこうかしら」
ミサと名乗ったその女は、金髪の童顔で小柄な女で、まるで人形のようだった。少女のようだが、高級そうなスーツを着ていた。どこか麻衣に似ている気がした。
「ミサ……? 俺を知ってるのか……?」
「えぇ、よく知っているわ。ずっとあなたを見ていたから」
「ずっと?」
学が不思議そうな顔をすると、
「ベルトの扱い方にはもう慣れたかしら?」
と、ミサは言った。
学は驚きを隠せなかった。なぜこんな見知らぬ女があのベルトのことを知っているのだろう。
「ここ数日で、あなたが卒業した八十三町立八十三中学校、平成八年度の卒業生が八人、それも全員あなたが所属していたソフトテニス部の部員が行方不明になっているのをご存知かしら?」
ミサはそう言って、
「もちろん知っているわよね。あなたの仕業だもの」
と言った。
「もう少し賢い使い方をしてほしいところだけれど、ひきこもりのニートのあなたにできることなんて、所詮昔自分をいじめた人間に復讐することくらいだものね。随分派手にやってくれたみたいね。後始末が大変だったって私の部下が嘆いていたわ」
「あんた警察、ってわけじゃなさそうだな……」
そう言うのがやっとだった。驚きの連続で聞きたいことは山ほどあったが、言葉がうまくまとまらない。
「この国の歴史をずっと操り続けてきた組織の人間とだけ言っておくわ」
「全部あんたたちの仕業ってわけか……」
学はもう何人もの人間、いや化け物だ、をその手にかけてきた。高志の死体をどこかへやったのも、中北や平井といった連中を殺しても事件にならなかったのも、すべてこの女たちの仕業だったのだ。
「俺をどこへ連れていく気だ?」
すべてこの女たちの仕業だったのだ。彼がマスカレイドアバターになってしまったことも。
高校前で麻衣と雪は学を探していた。
「あれー? お兄ちゃん、どこー?」
生徒会室では、窓から学が拉致される一連の流れを見ていた様子の日向葵は笑っていた。
生徒会長の柳葉魚が、
「日向、どうしたの?」
と、笑っている彼に声をかけた。
「ん? 別に」
とだけ、彼は答えて、カーテンを閉めると、
「さ、今度の生徒議会の準備をしようか」
そう言って笑った。
学が連れてこられたのは八十三町のはずれにある廃屋だった。
屈強な男たちの姿はなく、廃屋には学とミサのふたりきりだった。
「こんなところで一体何をするつもりだ?」
手足を拘束されているわけではなかった。逃げようと思えばいつでも逃げられそうだった。けれど、そうしようとした瞬間、殺されるかもしれない、と学は思った。この女の言う通りにしていた方がよさそうだ。
「そうね、あなたがベルトをどれだけ使いこなしているか見せてもらおうかしら。とりあえず変身してくれる? ベルトは持っているわね?」
「はいはい」
学は、鞄からベルトを取り出すと、腰に巻いた。いつでも変身できるように、ベルトは常に持ち歩いていた。
「システム起動、ディスリスペクト・トランスフォーム」
ベルトから機械的な男性の声が流れ、学はゲーム機を手に前にかざすと、
「変身」
バックルにはめ込んだ。
「マスカレイドアバター!」
学はマスカレイドアバターに変身した。
「これでいいのか?」
そう言う学をあざ笑うように、ミサはゆっくりと拍手をした。
「で、どうするんだ?」
「まずはあなたの新しい名前を教えてあげる」
ミサはそう言って、
「ディス」
と短い単語を言葉にした。
「ディス?」
「そう、それがあなたの新しい名前。ディスるっていうスラングがあるでしょう? ディスリスペクトという言葉の略よ」
それは軽蔑、無礼という意味の言葉だった。respect(尊敬)に反意語を意味する接頭辞「dis」をつけた単語。ヒップホッパーで人種差別や貧富の差の不満をリズムに乗せて歌われていたことから始まったと言われていると聞いたことがあった。自身の実力を見せ付けるためにディスったり、ディスり返したりすることもある。ヒップホップシーンでは大小さまざまなbeef(論争)が発生し、互いをディスりながら拡大・成長しているとも聞いていた。
彼は廃屋内の割れた無数の鏡に映る自分の姿を見て、
「この格好、まるでマスカレイドアバターだよな」
と言った。
ミサはうなづき、
「あなたはマスカレイドアバターディス。あなたが知っているマスカレイドアバターはただのテレビヒーローかもしれないけれど、実は日本国政府による半世紀に及ぶプロパガンダだったのよ。第3次世界大戦、いえ、世界最終戦争、ハルマゲドンのためのね」
そう言った。
「マスカレイドアバターとは、日本国政府が四〇年以上前から開発に着手していたパワードスーツの総称。この国は戦争をしないと言いながら、実は極秘裏に核を保有し、復興支援と称しては自衛隊は本物の戦場でマスカレイドアバターの起動実験を行ってきたの。そして、ようやくマスカレイドアバターは完成した。それがあなた、マスカレイドアバターディスなのよ」
「まさかとは思っていたけど、本当にマスカレイドアバターだったのか……」
正直なところ、あまり驚きはしなかった。モラトリアムトリガーの威力や、加速装置とでも呼ぶべきスーツの機能は、テレビヒーローのマスカレイドアバターそのものだったからだ。
「で、俺は何をすればいい? 世界征服をたくらむ悪の秘密結社とでも戦えばいいのか?」
学が言うと、
「そうね」
ミサは携帯電話をとりだし、
「彼をここへ」
通話相手にそう伝えた。
ミサの部下らしき学を拉致した屈強な男たちが、ひとりのスーツ姿の男を連れてくる。
「なんなんだよ! 離せ! 離してくれ!」
その男の顔に学は見覚えがあった。
「彼が誰だかわかるわよね?」
忘れるわけがなかった。
「野中……」
中学時代、学をいじめていた連中のリーダーだった。
「そう、彼は野中良成。あなたのいじめの首謀者だった男よ」
ミサはそう言うと、
「はじめまして野中さん。あなたは彼が誰だかわかるかしら?」
と、野中に問いかけた。
「知らない……。知りたくもない。早く帰してくれないか? 俺は忙しいんだ。仕事が残ってる」
野中はそう答えた。
不思議だった。
学には野中が化け物に見えなかったからだった。中北も平井も、高志も、町の通行人でさえ化け物に見えたというのに。野中は人間の姿のままだった。学がマスカレイドアバターであるとき、化け物に見えないのは麻衣だけだった。
「彼を最後に残しておくなんて、あなたは好きなものを最後にとっておくタイプかしら?」
ミサが笑った。
「あんた、ミサって言ったよな。どうしてこいつは化け物に見えないんだ?」
学は当然の疑問を口にした。
「これまであなたの目に化け物に映ってきた人間……、彼らはみんなあなたに敵意や悪意を向けてきた人間たちだった。マスカレイドアバターシステムはそういった相手を化け物に見せる作用があるの」
ミサが答え、
「だったら!」
学は反論した。
今まで学が殺してきた化け物は、本当は化け物ではなくただの人間だったということになる。信じたくなかった。学がしてきたことは化け物退治ではなく、ただの人殺しだということなのだ。
それに、学の人生で一番の敵意や悪意を向けてきたのは、目の前にいる野中という男だった。それなのに、なぜ彼が化け物に見えないのか。
しかしミサは言う。
「あなたの目に彼は化け物には映らない。だって彼はあなたのことなんてとっくに忘れて、何の敵意も悪意も持っていないのだから。彼はあなたにひとかけらの興味もないのよ」
彼女が言っている意味がよくわからなかった。
「あんたら何なんだ? いきなり俺を拉致して監禁したかと思えば、ヒーローショーなんか始めて。早く帰してくれよ。家で妻とこどもが待ってるんだ」
野中が言った。
「妻とこども……?」
「そう、彼は十年も前に結婚して、今は二児の父親」
「人の人生をめちゃくちゃにしておいて、自分は何もかも忘れて幸せになってるっていうのか……」
許せなかった。
「お前、俺を知ってるのか? 一体何なんだよ、何がしたいんだよあんたら」
めちゃくちゃにしてやりたかった。
「化け物に見えなくてもあなたに彼を殺せるかしら?」
ミサが言った。
「……殺せるさ」
学は野中ににじり寄った。
「おいおい、冗談だろ……。なんで俺が殺されなきゃならないんだ? 俺がお前に何したって言うんだよ!?」
学はモラトリアムトリガーを野中に向けた。
「モラトリアムトリガー!」
キュイキュイキュイキュイキュイ!
サマーサンシャイン……」
しかし学は銃に挿されたディスクを引き抜き、投げ捨てた。
「やっぱり、あなたには無理だったかしら」
ミサがため息まじりにそう言った瞬間、学は野中を殴りつけていた。
野中は激しく吹き飛び、廃屋の壁に体をしたたかに打ちつけた。
驚くミサに学は言った。
「いや……、あんな銃じゃ物足りないと思ってさ。こいつが死ぬまで、この拳で殴り続けてやる」
学は野中に馬乗りになり、何度も何度も殴りつけた。
「そう、それでいいのよ」
ミサはうれしそうに笑った。
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