第68話、スナネコは砂漠の天使…肉食獣だぞ!

さて、お手軽で美味いもの。

やっぱりカレーだよな。


スパイスとか考えないで、ルーを導入すればそれほど難しいことはない。

具は玉ねぎとマッシュルーム豚肉・人参でいいだろう。

これならば、肉を変えればハヤシライスにも応用できる。

いや、だったら牛肉にして…


まず、玉ねぎをみじん切りにしてあめ色になるまで炒める。

ここだけしっかりやれば、市販のルーでも十分なコクが出る。

個人的にお薦めなのが横濱舶来亭のフレークカレーだ。

ハヤシも同じでOK。

具材を入れてさっと炒め、水を入れて煮込む…煮込む…煮込む。

最後にルーを入れて完成だ。


マッシュルームを入れるのは、どれだけ煮込んでも最後まで具として存在を主張してくれるからだ。


「黒い器の方がハヤシライス。白い皿がカレーライスです」


「うまい。俺はカレーだな」


「私はハヤシね」


「来月から、半分程度の食堂で試験的に提供します」


「うー、牛丼にするか迷うではないか」


「大盛りをやめて、両方食べればいいじゃない」


「それから、ソーラーパネル電気のある所には、こちらのソフトクリームを出します」


「待てシュウ、ジュールには電気はまだだぞ!」


「タ、タンペイもです」


「食べたければ、ゴルかダゴンにおいでください。

あっ、マーメイドの里でもいいですよ」


「くっ、だから早く電気を入れようと言ったのだ。

それを年寄り連中が急ぐ必要はないとかぬかしよって…」


「魔道具では無理なんですか」


「ちょっと微妙な温度加減が靴かしいんですよね。

まあ、しばらくお待ちください」



第3世界のナキバ王国竜人国でも、国王にカレーを提供した。


「ルシファー様の布教が思ったほどには進んでいませんね。

もう少し本気で取り組んでいただければ、食堂にこのカレーライスとハヤシライスを追加してもいいと思っているんですが」


「ふん、誇りある竜人が食べ物などにつられる訳があるまい」


「へえ、そうですか。

実は、このソフトクリームも同時に展開してもいいかなと思っているんですけどね」


「そ、それは、ダークエルフの国にあった…」


「おや、ご存じでしたか。

まあ、食べ物には釣られないとおっしゃるんですから、この話はなかった事に…」


「待て、やる!ルシファー様の布教は絶対にやる!」




「くーっ、この辛さは、われら鬼人国に必要なものだ!

それに、食後のソフトクリームがうまいこと」


「ドワーフにはちと物足りんが、まあ、美味いな」


「中央の竜人には、この辛さは受け入れられんだろうよ。

だが、美味いぞ。

ソフトクリームもこの辛さが引き立って、もう一杯食いたくなってくる」


鬼人国と海側の竜人国とドワーフ国は会食の形で辛口を提供した。


いずれも、本腰を入れて布教してもらえるそうだ。

ドワーフの負けず嫌いは皆承知しているので余計な突込みは入れない。




第15世界のヨーロッパである

特に北側では作物や果実に影響が出ている。


「我々は、アフリカ大陸の北側に移住することを検討しています。

ですが、動物たちとの摩擦が心配ですね。

アフリカ大陸の南側が寒くなれば全体的に北上してくるでしょう…」


「すると、砂漠をどうにかしないといけませんね。

僕たちの世界では、子供のおしめにこういうものを使っています」


俺は紙おむつを出して見せた。


「これに水をこぼすと、中の物質が吸収します。

この成分を砂に混ぜて、保水させるんです」


「なるほど。

今のうちから砂漠の緑化に取り組んでおけば、移住もすんなりと行くやもしれませんね」


「それから、海水の塩分を取り除いて真水にする魔道具も使っています。

分離した塩は生活に使って、真水を霧状にして散水するのも有効だと思います」


「どちらにしても、早いに越したことはない。

シュウさん、我々に力を貸していただけますか」


「もちろんです」


試験的にセルロース植物繊維系とポリマー系で試してみる。

セルロースを使って砂を土に変えるのは中国で実証されている。

というか、だったら寒冷化によって枯れた木や下草を持ってきて砂に混ぜてやればいいんじゃね?


ということで、3種類を実験的にやってみた。

塩の分離はマーメイドの里で実証済みである。

この真水をパイプで伸ばし霧状に散水する。


結果としては、三つともに効果があった。

中でも、枯れ木や下草のエリアでは、もともと雑草や木の種子が残っていたようで、数か月で草ぼうぼうになった。


俺は、収納ポケットを増産し、枯れた木々と下草を土毎砂漠に運んでもらった。

混ぜるのは土魔法の使い手が対応できる。


砂漠の生き物には申し訳ない限りだ。

トビネズミとスナネコ、フェネック等は捕獲してくれれば引き取る旨伝えてある。

一旦動物園に入れて、繁殖したのを売るのはいいんだろうか…

日本の相場だと、スナネコ200万前後でフェネック70万程度である。

いやぁ、一財産できるな…


やっぱりプレジデントにお願いしてCoP常設委員会で、他の世界からの持ち込みは除外してくれるよう頼んだら、とっくに除外済みだといわれました。はい。

売ってもいいのか聞いたら、除外は除外だとにべもありません…


まあ、建前は動物園を優先していきましょうかね。

というか、そういえばスナネコって動物園でもあんまりいないのね…

世界最小級のネコで、砂漠の天使とか呼ばれてんの。

可愛いけど肉食だっつうの。

日本でも最近繁殖と人工保育に成功したっていうけど、売ってるのは正規輸入みたいだね。



ともかく、塩ビのパイプも大量に購入し、収納ポケットもどんどん増産して、緑地を増やしてもらいます。



スナネコとフェネック、結構捕獲できましたよ。

さあ競売…、情報が漏れていたようで、既に動物園からの申し込みが殺到してました。

俺の場合、ほぼ実費程度で譲渡してるからね。

動物園も格安扱いで考えているみたい…


砂漠の中でも、塩分濃度の高い場所は避けて、海側から広げていく。

ナイル川と大西洋側の両方から展開している。

でも、砂漠は広いからね…

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