第59話、第8世界考察
本日2話目ですが、短くてすみません
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我々は再訪を約束して大陸を後にした。
「まいりましたね、相手の思惑が見えない」
「そうだね」
「もう少し、アリの生態を学んでからでないと話になりませんね」
「だが、アリが知能を持ったとして、人類と敵対するのだろうか」
「問題はそこだな。
アリって生きた生物を襲うものなのか」
「死んでいる獲物か、弱っているのしか運ぶのを見ませんね」
「だが、アフリカとかには、攻撃的なアリもいるんじゃないのか」
「…」
その夜、アリの生態を確認した俺が得た結論は一つだった。
俺は、それを確認するため単独で昼間の場所へ瞬間移動した。
「やあ、来てくれると思ったよ」
「あなたは王アリですね」
「うん。そのニュアンスで正しいと思う」
「あなたの担当した女王アリは死んでしまい、現在は次の女王アリと王アリが存在している」
「うんうん、正しい推測だね」
「飛んでいるのは働きアリで、食料を求めて大陸間を行き来しており、概ね死んだ動物を運んでくる。
したがって、使う魔法は飛行系だけということになる」
「そういうことだ。
僕は、初めて女王以外と話をした。
僕は、この事実を記録として残すが、それを王アリ以外が見ることはなく、したがってサルの生活に影響を与えることはない」
「残された寿命は5年以内」
「おそらく、あと数日だと思うよ」
「もうお会いすることもありませんね」
「そうだね。楽しかったよ」
「では」
シュン!
アリはアリだった。
あの塔はアリ塚であり、乗り物に見えるのは進化した働きアリの姿だ。
働きアリは餌を運ぶだけで、何かを考えることはない。
唯一、考えることができるのは、役目を終えた王アリだけで、それが記録を残しているのだろう。
普段は女王アリの受精と産卵の介助を行っているのだ。
人類は石器時代の様相を呈しており、この世界から得るものはない。
俺たちはこの世界のグリーンホールを閉じることにした。
さあ、第9世界のホールを開けよう。
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