【一章が完結!】暗殺対象のカノジョが可愛すぎて殺せない〜殺そうとしても学校一の美少女はデレるし、世話好きだし、たまに「えっち」だから失敗する〜

下蒼銀杏

プロローグ

 十一月某日。綺麗な満月が浮かぶ夜。


 大きな屋敷のバルコニーに小太りの中年男性が顔を出した。タバコを吸いに来たのだ。

 彼はいつものように手すりにもたれかかる。その瞬間。




 ――彼の首から上が切り落とされた。




 庭に着地したそれは、ドサッと音を鳴らしただけ。残された胴体はそのまま立ち続けている。腕の部分が手すりに上手く引っかかっているのだろう。


 もちろん、この状況は自然発生したものではなく、人為的なもの。


 いわゆる『暗殺』が行われたのだ。


 そしてその執行人が人知れずバルコニーに舞い降りた。

 黒いコートをまとう姿はまるでからすのよう。ただしのここでの立ち振る舞いは烏のごみ漁りに比べ、非常に丁寧かつスピーディーだった。


『暗殺』に使用したワイヤーを静かに回収する。ブービートラップとして仕掛けられていたのだ。

『暗殺対象』の周りに人がいない時間を狙った見事な奇襲。


 彼は遺体に手向けをして、すぐにその場を後にした。




 これが日本でトップクラスの『暗殺者』――朝生陽太あそうようた一仕事ひとしごと




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