aftermoOn

ぽぽ

第1話

 この町のはずれに、どんよりとした森があって、その真ん中に大きな切り株がある。

人が四人座れるくらい大きくて、子どもの遊び場にでもなりそうなものだが、誰も近寄らないらしい。


なぜか。不思議に思った僕は、一人で森へ行ってみた。

日頃人が入ることがないので、道のようなものはなく、草木をかき分けてなんとか前へ進む。昼間だというのに薄暗く、なんだか気味が悪いが、少年特有の持て余す好奇心が、僕の背中を押した。

しかし、行けども行けども草木で、ずっと同じところを回っているような気しかしない。


「あれは…?」


前方に何か光が見え、思わず声を出す。


その光のほうへ歩いていくと、突然道がひらけ、ぽっかりと森に穴があいたような場所に出た。そしてその穴の真ん中に例の切り株があった。

そろりそろりとそれに近づいてみた。なにも起こらない。


触れてみたいと思ったが、やはりなにか恐ろしいものが感じられるような気がして、躊躇していた。手を伸ばしては引っ込め、伸ばしては引っ込める。



やっとのことで意を決し、そっと手をのばす。中指の先が微かに触れた瞬間、僕を包み込むように光が射して、体が宙に浮いた。








思わず瞑っていた目を開けると、目の前に小柄なおばあさんがいた。


「はじめまして、キヨシくん」


その意味ありげな微笑みに、明らかに怪訝な顔を返す。


「僕、あなたに会ったことないんですけど」


小学生にしては可愛くないこの返事、これが僕。良い機会だから自己紹介しておこう。

名前はキヨシ、僕はどことなく古くさいこの名前が嫌いだ。年は小学三年生。AB型。おとめ座。あと何か言うことあったっけ…あ、そうそう、誕生日は8月24日。あんまり意識することがないから、つい忘れがちになる。


「こっちへいらっしゃい」


僕の返事なんか無視して、おばあさんは歩き出した。

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