第3話 古城にて
まだ乾ききっていない血がついてる床をドンキホーテは冷静に見つめる。
「どういうことだ?」
しかしある疑問がドンキホーテの心をほとんどをしめていていた。
「どうしたドンキホーテ?なにか気になることがあるか?というかきになることだらけじゃが」
アレン先生が聞く。この状況おそらく何者かにエイダは襲われたのだろう。ドンキホーテ達はとっさにそのことを理解しこの血痕の残る玄関を中心に、犯人のなんらかの痕跡がないかを調べていた。
先生、とドンキホーテが口を開く。
「これは多分連れ去られたな」
「なに?これほど出血でか?殺されたのではないか?」
「いやおそらく生きている。死体に用がある可能性もあるが、ネクロマンサーは単独犯が多いからネクロマンサーの可能性は低いかもな」
「なぜ複数犯であると言い切れるのじゃ?そもそもしたいならそこらに捨ててきた可能性もあるじゃろ」
「いや手際が良すぎる。ほとんど争った形跡がないどころか家も漁られていない。おそらく誰かが玄関先で不意打ちを食らわせて傷を負わせた後、気を失ったエイダに蘇生魔法でもかけたんだろうよ。稀だがそういう事例を聞いたことがあるぜ。昏睡させる毒なんかを用意できないときに使う。手段だな。」
ドンキホーテがこの様なことがわかるのは彼自身、アレン先生とパーティを組んでいるとはいえ騎士という身分だったからだ。彼は旅先で事件が起きるたび騎士の責務として夜警などと協力をして事件解決を手伝っていた。その経験が今回のことでも多いに役立っているようだ。
「魔法を人攫いの道具に使うとはな・・・しかし合点がいった。つまり怪我を負わせる者、それを回復する者がいて最低2人はおるのか。それもかなり腕の立つ回復術師、そしてそのようなものを仲間に引き込めるほどの人物がいると。」
ドンキホーテはうなずく
「そうだぜ先生、だが問題はどこに連れ去ったかだ。それがわからないと話にならないぜ。あいにく痕跡は消されているみたいだしな。」
するとアレン先生は得意そうにニャーと鳴きこう言った。
「何のためにワシがいると思っておる。ワシの追跡の魔術ならば一瞬で犯人の場所なんぞ特定できるわい。」
そう言い放つとアレン先生の口から得体の知れぬ人間には聞き取れないような呪文が流れ出してきた。常人には理解のできない言語だが、魔女であるアレン先生にとってはそれは自身の能力である魔法を具現化させるための鍵となる。
そして魔法の詠唱が終わる。その瞬間ぼうっと地面が光り出し光る足跡のようなものを形成していく。
アレン先生は得意げに鼻を鳴らし
「行くぞドンキホーテ。悪人を懲らしめにな。」
と言った。
「もちろんだぜ先生いつも通りに頼むな。」
「ふん!誰にものを申しておる!いつも以上に働いてやるわ!」
ドンキホーテとアレン先生はこの光る足跡をたどっていく。その先におそらくいるであろう。エイダを追って。
エイダ・マカロは目を覚ます。どうやら眠っていたようだと気づいた彼女は辺りを見回した。石造りの床に割れたガラスまるで玉座の間ようなものがあるいかにも城の王の間と言ったところだ。しかしもう捨てられてしまったのか石畳にはあちこちヒビが入っており玉座もぼろぼろだ。
ようやくここは自分の家ではない。思えば自分が眠りに入ったという覚えがない。ということを自覚したエイダはついでに自分自身きつく縄で縛られていうことに気がついた。
「誰!誰かいないの!」
エイダは混乱し思わずそう叫んでしまった。もしかしたらこの様な寂れた城だ野生のモンスターなどがいてもおかしくはないこの様なことは普通の場合自殺行為だったしかしそれでも。彼女は叫ばずにはいられなかった。
不安と混乱からエイダの瞳からは涙が溢れていた。
すると暗闇の中から男が現れた。その男は黒い甲冑着ておりいかにも人さらいには見えない。どちらかというとまるで騎士の様な出で立ちだ。
「静かにしてもらおう。」
その冷たい言葉にエイダは悟った、ああここで終わりなのだと、もう家には帰れないのだ。ここでこの寂れた古城で私は死ぬしかないのだろうかと。
「誰も助けになど気はしない諦めるのだな。」
男は話し続ける。
「ガウス!転移魔法の準備はまだか?」
ガウスと呼ばれた男は首を振る。
「まだだ、今は夜だが曇っていて、星がまだ出てきていないだろう?星が出てきて星座を確認したら、転移の魔法は作動できる。」
転移の魔法・・・エイダはその言葉だけでなにが起きるか察知したどこかに連れて行かれる。ここではないおそらく恐ろしいところへ。エイダの縛られている縄を掴み甲冑の男はエイダ魔法陣の様なものの中心に連れて行こうとする。
「いや!やめて!誰か!」
「だから誰もこないと」
甲冑の男がそう言った瞬間だった
「およびかい?お嬢さん」
突然現れた黒い髪そして青い瞳の男が甲冑の男を殴り飛ばした。
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